VXとは?DXとの違いやVXの事例などをわかりやすく解説
テクノロジーの発達により多くの企業でDXの推進が行われていますが、次の変革として期待されているのが「VX」という概念です。
VXでは「ビジネスや暮らしにバーチャルが溶け込む世界」の実現を目指しており、仮想世界と現実を融合させた世界において、DXだけでは成し得なかった課題の解決や、新しいサービス・体験・価値を提供できると期待されています。しかしVXについて、DXとの違いなどがまだよくわからないという人も多いでしょう。
この記事では、VXの概要や具体例、導入するうえでのポイントなどを解説します。
VXとは?DXやメタバースとの違い
VXの基本的な概念やDX、メタバースとの違いについて紹介します。
VXとは
VXとは「仮想」を意味するバーチャル(Virtual)と、変質・変換を意味するトランスフォーメーション(Transformation)を組み合わせた言葉です。
最先端のテクノロジーを利用することで、仮想世界と現実を融合させた新しい世界を構築し、さまざまなサービス、体験を生み出すことが期待されます。例えばVXが進んだ世界では、以下のような体験が仮想世界で現実のように体験でき、時間や場所、身体にとらわれず、今よりも快適でスムーズな体験が実現できると考えられています。
- バーチャル会議
- 仮想空間でのショッピング
- 仮想空間での習い事や講義、研修
VXが実現すれば、仮想世界と同じような感覚でさまざまな体験が可能です。
例えば、遠隔地にいる人やデジタルヒューマンと現実のように対話や活動ができるようになります。なおデジタルヒューマンとは、仮想空間上に生成される、あたかも人間と同じように振る舞い、人と双方向コミュニケーションも取ることができる存在のことです。
VXとDXの違い
VXと似たような単語にDXがあり、その違いは少しわかりにくいかもしれません。
VXとは、仮想世界と現実を融合させて新たな価値の創造や社会への変革を起こすものです。DXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、「デジタルによる人々の生活を変換・改革」というものです。デジタル技術を通じて企業の新たな価値向上やビジネスモデルの創出などを行い、企業の競合性を高めるための取り組みを指します。
VXはDXの先にある概念とされ、例えば会社の研修は従来では人と人が対面で行っていました。しかし、DXが実現されると研修をeラーニング(インターネットを利用して学ぶ学習形態)で学ぶようになり、VXが実現できれば、仮想世界のなかでデジタルヒューマンを講師にしたVR(Virtual Reality)トレーニングになるかもしれません。
このようにVXが実現できることで、サイバー空間においてDXよりも現実に近い行動や体験を提供できるとされています。これがVXとDXの違いであるといえるでしょう。
*DXについてより詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
関連記事 DXとは?DXの定義や、なぜ今DXが注目されるのか分かりやすく解説
VXとメタバースの違い
メタバースとはMeta(高い次元)とUniverse(宇宙)を掛け合わせた造語であり、仮想世界で、さまざまな人とコミュニケーションを取ることができます。
パソコンやゲーム機を使うほか、専用のゴーグルを利用して、3Dの仮想空間を体験できます。
このようにメタバースはデジタル上にコミュニケーションを取れる仮想空間を生成する技術・方法の一つであることに対し、VXはメタバースを含むさまざまな技術を内包しながら仮想と現実を融合させる変革を指します。
VXを実現する6つの最先端技術
VXを実現するには、さまざまな最先端技術が必要となります。代表的な技術を6つ紹介します。
人工知能「AI」
AIはArtificial Intelligenceの略で、人工知能のことです。人間の知能を機械が再現する技術で、今では多くのシーンで採用されています。
VXの仮想空間ではAIと人間がコミュニケーションをとり、例えば製品の案内やサービスをAIが人間に変わって行うことなども想定されます。
*AI活用の一例を、こちらの記事でご紹介しています。
関連記事 AI画像解析とは?画像解析の基礎から活用事例までをわかりやすく解説
仮想空間を見せる「XR」
XRはExtended Reality/Cross Realityの略で現実の物理空間において仮想空間を作り、現実とは異なる体験を実現する技術で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)の総称です。
VXでは、XRの採用により、仮想空間で現実のような感覚を作り出しながら、顧客へのサービスや会議、展示会やショッピングなどさまざまな活動が行えるようになります。
*MR(複合現実)はインテックで研究開発を進めている分野です。詳しくは「インテックの次世代UX(没入型体験)技術」にて紹介しています。
インテックの次世代UX(没入型体験)技術位置情報を高精度でリンクできる「VPS」
VPSはVisual Positioning Systemの略で、カメラ越しの情報から位置を特定する技術です。カメラの映像から現在地の特定などができます。XR技術に取り入れることで現実の位置情報を高精度でリンクさせた仮想世界を実現します。
双子の世界を実現する「デジタルツイン」
デジタルのサイバー空間に、リアル世界の人や物、コトをそっくりに表現する技術です。現実と仮想世界が双子のようにそっくりであることからデジタルツインと呼ばれています。
大容量で通信できる「5Gネットワーク」
第5世代(5th Generation)移動通信システムの登場により、大容量のデータを複数のデバイスにおいて、高速でやり取りできる技術です。VXでは扱うデータが大きいため、5Gは欠かせないものとなります。
*インテックでは、ローカル5Gなどの大容量・同時多数接続を可能とするワイヤレス技術を活用したサービスを提供しています。
ワイヤレスDXソリューション超高速で処理ができる「量子コンピュータ」
超高速で最適解を出せる最新のコンピュータで、量子の特性を生かしています。従来のコンピュータと比べ、数億倍の処理を可能とするので、大容量のデータを扱うVXに必要です。
VXを推進するためのポイント
それでは、どのようにVXを推進するとよいのでしょうか。正しくVXを推進するためのポイントを解説します。
VXの推進目的を明確化
VXは幅広くビジネスや人々の暮らしを変える概念です。できることが幅広いだけになぜ推進するのか、どのように自社ビジネスにVXを活用するのか、目的を明確にしておく必要があります。
バーチャルオフィスを導入し社内の業務効率を向上させたり、仮想空間にショールームを作って顧客を集めたりするなど、さまざまな可能性がありますが、自社の状況に合ったものでなければ、推進しても意味はありません。
VXの推進目的を整理したうえで、自社にとって費用対効果が最も高くなるよう工夫して取り組みを進めましょう。
IT人材の育成・雇用を積極化
VXを実現するには先進技術の知見があり、技術開発に応用できるDX人材やIT人材の獲得が必要です。
VXは最先端の技術が使われるため、一から理解するのは容易ではありません。たとえシステムの構築は外部の会社に依頼するとしても、自社の既存事業を踏まえて変革を推進するためには社内にもDX人材が必要です。社内のリソースが不足している場合は、リスキリング等の教育を行いDX人材やIT人材へと育成するとともに、外部からも積極的に採用しましょう。
*DX人材についてより詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
DXを実行したうえで更なる変革を推進
VXを行う前に、まずはDXの推進が必要です。VXはDXの先にある概念であり、使われる技術にも共通したものがあります。そのため最初からVXに挑戦するのではなく、DXを先に実現したほうがスムーズな展開が可能でしょう。
また、企業のDX化を行うことで、業務効率化や新たなビジネスモデルの創出などさまざまなメリットが享受できます。
*DXについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
関連記事 DX化とは何?IT化との違いやメリット、実現すると変わることを解説
先進技術の導入に向けたインフラ構築
先に挙げたさまざまな先進技術を組み合わせて変革をもたらすためには、大容量のデータ処理を伴う技術をスムーズに扱えるインフラの構築が必要となります。
ITインフラにはデータなどを補完しユーザーに情報や機能を提供するサーバー、端末をインターネットにつなぐための通信環境、大量のデータを保存するストレージ、停電になってもシステムを継続して使えるようにするための無停電電源装置(UPS)などが含まれます。
また、ITインフラを整備する際には、データ処理に関することだけではなく、セキュリティにも万全を期すようにしましょう。VXではさまざまな企業や個人の情報が扱われるためセキュリティ対策は重要です。
VXを取り入れた企業・自治体の事例
VXは新しい概念ですが、すでに取り入れた、もしくは取り入れようとしている企業や自治体もあります。事例を紹介します
事例①百貨店の仮想店舗
ある大手百貨店では仮想店舗としてスマートフォン向けの仮想都市空間サービスの運営を行っています。店舗にアクセスすればオンラインストアでのショッピングができるようになっています。
デパ地下からファッション、インテリア、ビューティなどさまざまなショップを、本当に買い物をしているような感覚で巡ることができ、周囲の街を見渡す屋上などを楽しむことも可能です。実際の店舗スタイリストのアバターも登場します。
事例②自治体のデジタルツインによるプロジェクト
デジタルツイン技術により本物そっくりの街を仮想空間に再現し、防災やまちづくり、エネルギー、自然、産業、働き方、モビリティなどの各分野においてさまざまな活用を行うことで、住民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目指しています。また、地理空間データの活用で職員の生産性を向上させるという目的もあります。
VXは仮想空間でさまざまなビジネスチャンスを作り出す
VXは現実と仮想世界を融合させたDXの先を行く概念です。VXを実現することで、さまざまな体験やサービスを提供することが可能となり、企業のさらなる価値向上が期待できるでしょう。また、仮想空間でのショッピングやまちづくりなど実現できれば企業だけでなく、地域や国全体でさまざまなメリットを享受できて、更なる発展につながるかもしれません。
ほかにもDXでは実現できなかった新たな体験やサービスの発掘にもつながるなど、新しい価値提供に期待できます。そのため、今後のVXの動向に注目してみてはいかがでしょうか。
*『DXに関連する商品・サービス』は、こちらのページをご覧ください
インテックが考えるDX公開日 2023年12月21日
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