データ利活用コラムVol1:データを用いて故障発生を予測し、設備稼働率向上する方法とは【製造業×データ活用】

データの利活用は、事業環境の変化に対応し、ビジネスを継続的に発展させていく上で必要不可欠となりつつあります。データやデジタル技術を活用して、製造プロセスや出荷後の状況などを一元管理し、現場にあるノウハウをデジタル化、生産性向上へ繋げていく、いわゆる"製造業DX"について、耳にされたこともあるのではないでしょうか。
一方で、現場には「データをどう有効活用すべきかわからない」「データを扱える人材がいない」などの課題もあります。

今回のコラムでは、IoT化が進み、これまで収集が難しいとされていた様々なデータが収集できるようになった製造業において、大きな課題のひとつである設備稼働率の向上をテーマに、どんなデータを・どのタイミングで・どのように活用すべきなのか、事例をもとにお届けします。


*こちらのコラムも合わせてご覧ください。

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データを利活用するための手順

データ活用の目的は様々です。そのビジネスゴールに向けてデータを活用する際に必要な手順は下記の通りです。ビジネスゴールが決まったらまずはPoC(Proof of Concept:概念実証)を行い、結果を評価し、設計・開発を行います。

データを用いて故障発生を予測!予測をもとに設備保守を行い、設備稼働率向上

自動車工場の生産管理の方から、こんなお声をいただきました。

「うちの工場では、『予防保全』として毎年大規模な設備点検をやっているが、そのたびに設備を何日も止めなければならず、保全業務にかかる人的工数も多い。点検で異常がみつからない機器も多いが、点検前に壊れる機器もあり、点検のタイミングがうまく嚙み合っていない印象だ。もっと効率のよい設備保全を行いたい」

そんな時は、設備や環境のデータを計測・分析することで設備故障の予兆検知を行い、適切なタイミングで保全を行う「予知保全」を考えてはいかがでしょうか。これにより、設備稼働率の向上だけでなく、保全業務に関わる人員の適正化も図れます。

設備故障の予兆検知をするために必要なデータ(一例)

  • 対象設備に設置した振動データ
  • 設備の稼働状態を示すデータ(電流、電圧、圧力、 etc.)
  • 環境データ(気温、湿度、etc.)

自動車工場における予知保全でのデータ活用の全体像

  1. 1データを元に故障発生前特有の振動データの動きを検知するモデルを作成する

    FFT等を用いて周波数分解を行い、より精細に振動データの特徴を捉えます。

  2. 2実際に稼働している設備から、1時間ごとにデータを取得し、①で作成したモデルを用いて故障予測を行う
  3. 3故障予測結果から、故障発生が近いと予測された場合、次に設備が停止するタイミングで、設備保守を実施する

    故障予測確率が高いと通知された担当者は保守計画を検討し、設備保守を実施します。保守の結果、故障しそうな箇所がみつかったなど、予測結果が合っていたかどうかに関する情報をフィードバックします。予測されていないタイミングで故障した場合も、情報をフィードバックし、蓄積します。

  4. 4検知できなかった故障が発生した場合、その時の振動情報をシステムに再学習させることで、今まで起きなかった故障にも対応可能

    検知できない故障が発生するなど、精度が劣化した場合、再学習によって推論品質を維持します。モデル保守担当者がデータを見ながら再度分析し、精度の高いモデルを再構築します。再構築されたモデルは、手動で推論環境にデプロイします。

特に重要なポイントは「担当者同士のコミュニケーション」と「実運用を見据えた分析環境」

今回のテーマである「データを用いて故障発生を予測し、それをもとに設備保守を行い、設備稼働率向上」を実現する上で重要なポイントはどこだと思われますか?

データの整備やデータの収集、実績のフィードバックなど様々なポイントがありますが、製造業でのデータ活用は、データ収集・分析の基盤や工場設備とうまく連携できているかがキモ。モデル保守担当者、システム保守担当者、設備保守担当者といった複数の立場の担当者がうまく連携することで、データの力を最大限引き出すことが可能です。そのためには、データ利活用の様々なフェーズで、複数の担当者がうまくコミュニケーションをとることが大事です。特に、設備保守担当者はデータ分析に詳しくないことも多々あります。GUI画面で操作することで誰でも簡単に活用できる分析環境を整えることも重要です。さまざまなユースケースに対して、素早くテストし業務適用できる仕組みを用意しておくと良いでしょう。

いかがでしたでしょうか。データの利活用は、事業環境の変化に対応し、ビジネスを継続的に発展させていく上で必要不可欠となりつつあります。
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公開日 2022年07月01日

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