データ利活用コラムVol3:画像データを用いて作業を標準化する方法とは【製造業×データ活用】

前々回のコラムVol1ではデータを用いて故障発生を予測する方法を、前回のコラムVol2ではデータを用いて不良品検出を自動化する方法についてお伝えしました。
データを使って現場の改善を進めていくための本コラム、第3回目である今回は、製造業での作業標準化をテーマに、どんなデータを・どのタイミングで・どのように活用すべきなのか、事例をもとにお届けします。
作業標準化をお考えの方はもちろん、「データをどう有効活用すべきかわからない」「データを扱える人材がいない」などの課題をお持ちの方にもぜひご覧いただければと思います。


*こちらのコラムも合わせてご覧ください。

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画像データを用いて作業を標準化し、業務効率化

電子部品工場の生産管理の方から、こんなお声をいただきました。

「うちの工場には、最近若手の作業員が多く入ってきており、熟練の作業員に指導してもらっているが、熟練の作業員の動作もひとそれぞれで、体系だった教育ができておらず、動作の無駄が多く、ミスにも繋がりかねない。熟練の作業員はあと数年で退職することもあり、今のうちに熟練の作業員の動作を見える化し、若手でも同じ動作ができるようにしていきたい」

熟練作業者の技術や手順を未習熟作業者へ、できるだけ定量的にまた形式知として伝えたいというのは、どこの現場でもある課題ではないでしょうか。製品の製造計画の安定化と、それによる収益を最大化するにはタクトタイム(理論値)とサイクルタイム(実績値)を近づけることが大切です。
サイクルタイムは実績値なので、各作業員の未熟さが、そのまま生産実績に悪影響を与えます。
サイクルタイムをタクトタイムに近づけるには、標準化した熟練者の作業手順や動作を、各作業員が学習し、作業時間のばらつきを最小化することが必要になります。
そのためには、作業員の動きを動画で記録し、記録された動画から、動作を自動で推定し、各動作にどの程度時間がかかっているか算出したり、動作ごとに見比べたりして、各作業にかかった時間について熟練者と初心者で比較することが有効です。比較結果から特に作業効率に影響がある部分について知見として蓄積し、標準化することで、作業の効率化を図ることができます。
また、このような標準化の作業は一度で全てできるものではありません。継続的にデータを蓄積・活用していくことで、データ活用による業務の効率化をする風土の醸成を図ることができます。以下にその一例をあげます。

作業を標準化するために必要なデータ(一例)

  • 作業場に設置したカメラからの動画
  • 作業者が誰かといった属性情報
  • 作業開始からの時間

今回のデータ活用の全体像

  1. 1作業台上で行う熟練者、初心者それぞれの作業中の動画を録画する。
  2. 2動画を分析することにより、各動作がどのくらい時間がかかったのか自動的に算出し、作業員ごとに、また、作業ごとに蓄積する。
    • 骨格推定により、動作のまとまりを検出することで、各動作にかかった時間を自動的に算出することが可能です
  3. 3蓄積データの統計量や、実際の動画情報を用いて熟練者と初心者で動作を比較し、作業員ごとに差が出やすい動作をピックアップする。

    • 熟練者は製造ラインから右手で製品を取るところを、初心者は左手で取っている
    • 部品ピックアップ時に、初心者は回り込んで部品を取っており無駄がある
    • 熟練者はあらかじめ部品を取っている、ネジを締めてから次の部品を取っている、など
  4. 4ピックアップした動作について熟練作業員のやり方を元にした標準化や、教育を実施する。

    • 時間がかかりやすい作業の効率的な手順の明確化
    • 習熟が低い作業を洗い出し、学習を促すことによる効率的なスキルアップ
    • 各作業員の熟練度をスコア化し、学習に役立てる
    • 上達進捗状態の管理、など
  5. 5①で継続的にデータを溜めながら、②~④を繰り返すことで、データを用いた作業改善を継続的に行っていく。

特に重要なポイントは「データを活用して業務効率をあげるという文化、風土の醸成」と「データ活用の実践が手軽にできる仕組み」

今回のテーマである「画像データを用いた作業標準化」を実現する上で重要なポイントはどこだと思われますか?

データの収集や作業時間の算出など、様々なポイントがありますが、画像データを用いて作業を標準化する上で重要なのは「データを活用して業務効率をあげるという文化、風土の醸成」ではないかと考えます。まずデータを取ってみてそこから現状を把握し、継続的に改善していく。この流れを現場で行う風土をつくることで、データを活用した客観的な尺度で現場の改善を行うことができます。
そのためには、データ収集から蓄積・データ準備・機械学習モデル構築・業務適用までをオールインワンで提供でき、「データ活用の実践が手軽にできる仕組み」が有効です。
所定の場所に動画ファイルを格納するだけで、また、Webアプリを作りそこから動画をアップロードするだけで、自動に動画ファイルを読み込んで各動作にかかった時間を算出するような仕組みを一貫して同じ環境で実装できれば、現場で収集したデータをより活用しやすくなります。さらにアプリ構築を含むこれらの作業がGUI操作するだけで簡単にできれば、仕組みづくりの効率がぐっとあがります。
データ活用の風土と、それを実践する仕組みが形成されると、様々な製品における各工程の標準化が現場で図られます。さらに、それらの内容や効果を共有することも重要です。例えば、GUIで追加分析して可視化用のダッシュボードを簡単に共有できれば、他メンバーへの知見の共有が容易になり、より業務効率化につながることが期待できます。
このためには、技術的な専門知識が少ないユーザーでもGUIで簡単にアプリを作成したり、分析をおこなったりできるデータ分析環境を用意しておくことも重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。データの利活用は、事業環境の変化に対応し、ビジネスを継続的に発展させていく上で必要不可欠となりつつあります。
データの利活用をご検討中の方向けに、分析機能や可視化機能、より使いやすくするためのGUIや共有のためのダッシュボードまで一通り揃えた業務での実践、適用に適したオールインワンのデータ分析プラットフォームの資料をご用意しました。資料では、いま求められるデータの活用・分析方法についてご紹介しています。ぜひご覧ください。

公開日 2022年08月30日

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