データ利活用コラムVol2:データを用いて、不良品検出を自動化する方法とは【製造業×データ活用】
前回のコラムでは、製造業における設備稼働率の向上をテーマに、どんなデータを・どのタイミングで・どのように活用すべきなのか、事例をもとにお届けしました。
改めて、データの利活用は、事業環境の変化に対応し、ビジネスを継続的に発展させていく上で必要不可欠となりつつあり、様々な立場の担当者がコミュニケーションをとりながらデータやデジタル技術を活用して、実運用をにらんだ仕組みづくりを行うことが今、求められています。
一方で、現場には「ある程度、人の確認は必要」「人間の作業とどう組み合わせていくか」などの課題もあります。
今回は、製造業での不良品検出の自動化をテーマに、どんなデータを・どのタイミングで・どのように活用すべきなのか、事例をもとにお届けします。
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データを用いて不良品検出を自動化!安全性と業務効率の向上を実現
食品工場の生産管理の方から、こんなお声をいただきました。
「昨今の食の安全に対する関心の高まりにより、現場ではより一層、不良品検出の精度を高める必要が出てきています。加工ラインにおける自動検査として、光学式の選別装置なども使っていますが、やはり検査の範囲・内容が限られるため、作業者による目視検査がメインとなっています。ここを自動化したいのですが、どのようなデータをどう使えば、不良品検出の省力化が可能になりますか?」
そんな時は、製品の画像データを用いて、良品と不良品の判別モデルを作成し、補助的に人間の目視確認を行うことで、不良品検出を省力化することが可能です。
不良品検出を自動化するために必要なデータ
- 製品の画像データ
食品工場での不良品検出におけるデータ活用の全体像
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1各製品の画像データを用いて、良品と不良品の判別モデルを作成する
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2①のモデルを用いて、製造製品について不良品判別を実施する
- モデルの出力確率により、「不良品」「準不良品」「良品」の3段階に分けます。
- 後段の人間の目視検査時に「準不良品」について重点的に検査し、不良品か良品かのラベルづけを人手で行います。
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3不良品が多発する可能性がある場合は、対策を実施する
推論結果が準不良品もしくは、不良品の場合、製品管理担当者に通知します。不良品が続く場合は、必要に応じて設備の不具合等をチェックします。
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4準不良品に対するラベル情報を元に再学習し、判別モデルの精度を改善していく
②で「準不良品」に対して目視でつけたラベルを蓄積しておき、定期的に再学習を行うことで、判別モデルの精度を改善していきます。
再構築されたモデルは、手動で推論環境にデプロイしますが、ユーザーが使う環境にデプロイするまえに、シャドウテストを行い、精度や推論速度について確認します。
特に重要なポイントは、「いきなり完璧を求めないこと」と「 ヒューマン・イン・ザ・ループを念頭においた実運用環境」
今回のテーマであるデータを用いて不良品検出の省力化を行い、安全性と業務効率の向上を実現する上で重要なポイントはどこだと思われますか?
データの整備やデータの収集、実績のフィードバックなど様々なポイントがありますが、まず「いきなり完璧を求めないこと」ではないかと考えます。
最初から不良品を100%検知できる仕組みではなく、不良品かどうか微妙なラインである「準不良品」を設定しここを重点的に検査することで省力化が可能です。また、準不良品の画像データに対して目視で「不良品」「良品」のラベルをつけ、それを再学習してさらに精度の良い機械学習モデルを作ることも可能です。その際には、モデル構築環境から実運用環境へスムーズに機械学習モデルのデプロイを可能にする仕組みが必要です。
この「準不良品」へのラベルづけの作業は人間がやることになります。このような人間が推論の間に入る「ヒューマン・イン・ザ・ループ」の実現のためには、人間がいかにGUI(※)でわかりやすく操作できるかが大事となります。「ヒューマン・イン・ザ・ループを念頭においた実運用環境」が構築できれば、機械学習システムで実現可能なことがぐっと増え、また運用上のリスクを減らすこともできるでしょう。
このためには、技術的な専門知識が少ないユーザーでもGUIで簡単に利用できる実運用環境を用意しておくことも重要です。
- ※グラフィカルユーザーインターフェース。マウスなどで直感的に操作できるインターフェイスのこと。
いかがでしたでしょうか。データの利活用は、事業環境の変化に対応し、ビジネスを継続的に発展させていく上で必要不可欠となりつつあります。
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公開日 2022年07月05日
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