AI画像解析とは?画像解析の基礎から活用事例までをわかりやすく解説

私たちは「画像解析」を数十年前から生活の中で利用してきました。昨今のテクノロジーの進化と共にAI技術を使った「AI画像解析」も利用するようになりました。

AI画像解析とはどのような技術なのでしょうか。また、最新のAI画像解析はどんなシーンでどのように使われているのでしょうか?

AI画像解析について-画像解析とAI-

画像解析は、「画像認識」「画像分析」の2つの機能を持っており、それぞれの機能にAI技術を適用したものがAI画像解析です。

カメラで撮影した映像から映っている物体の特徴を抽出する機能が「画像認識」です。抽出した特徴を解析して、物体が何であるかを分析・判断する機能が「画像分析」です。画像認識と画像分析は対で用いられることが多く、2つの機能を併せて「画像解析」と呼んでいます。

この2つの機能を含んだ「画像解析」にAI技術を取り入れたものがAI画像解析です。もちろんAIを使わない画像解析も健在です。

AIを使わない画像解析とは

AI技術を使わない画像解析の有名な事例としてバーコードがあります。バーコードリーダーは、取り込む画像中の複数の黒い線が並んだ部分でバーコードの規則に沿っていることを判断すると、その画像の黒い線とその間隔(白い部分)からコード情報を解析して、コードを出力します。このように、ある規則に沿って画像を判断する画像解析が多く使われてきました。

AI画像解析とは

AI画像解析では、人が与えた規則に沿った判断をするのではなく、AI自身が判断規則を学習します。この学習のことを機械学習と呼び、機械学習の一部とされるディープラーニングは、大量の画像を入力して自動的に特徴量を見つけて識別ができるように学習した上で、写っているものの確率を出します。そのためには、人が学習することと同じように、ニューラルネットワークを使った機械学習を行います。

ディープラーニングでは、取り込んだ画像の特徴を自動的に把握するので、人がこれまで気づかなかった特徴を見つけることができます。そのため、多くのシーンで利用できると考えられています。ただ、ディープラーニングを使ったAI画像解析にも弱点があるようです。

解析したい目的に応じて

例えば、取り込んだ画像の中にある物の数を数える場合、あらかじめ数えたい物に対応すべくディープラーニングを行う必要があります。

学習すれば、動き回る人や色や形状の違う車であっても、探し出して、数を数えることができますが、まずはデータから学習しないとなりません。多くの物体に対応した万能な学習済みデータがあれば良いのですが、膨大な量の学習データが必要になったり、案件個々の要求に耐えうる精度を保つ必要があったりします。結局、精度を上げたい場合には、実現したい内容にあったデータを学習することになります。

また、数えたい物がロゴマークのように固定形状の場合は、ディープラーニングは苦戦します。ディープラーニングでは写っているものと探したいロゴマークが「何%同じ」という確率を出すことになるのですが、ロゴマークの場合は色調やレイアウトが正確に決められていますので「100%同じ」でなければなりません。この場合は、完全一致かどうかを判断できる非AI手法のパターンマッチングの方が適しています。

また、AIで画像認識を行う前に画像処理を行って認識精度を向上させたり、AIでの画像認識の後にパターンマッチングを組み合わせるなど、ソリューション目的に応じた処理が必要になることもあります。

このようにAI画像解析は、さまざまな画像解析技術と目的に応じて利用する学習データを組み合わせて実現します。

AI画像解析の活用シーン

インテックではAI画像解析を含めた画像解析技術全般のさまざまな経験をもっております。ここではその一例をご紹介します。

1. 航空写真の建物変化領域の検出

AI画像解析によってドローンで撮影した映像や衛星画像、航空写真を解析する事例が増えています。

例えば、固定資産に関する家屋や土地などの調査でも利用されています。一般には、調査員が現場に出向いて家屋や土地の状況を目視で確認する、または異なる年数の航空写真を調査員が目視で確認するという手法で行うのですが、調査時間を要することとヒューマンエラーが発生する課題があります。

インテックで行った事例では、家屋の存在、改築や新築などのパターン判定をAI画像解析によって検出時間は45分から3分に、検出数は71件中47件(66.2%)から67件(94.4%)になりました。

2. 視覚障がい者のための物体認識

これから一層多様な働き方を実現するために、障がい者の生活支援や、障がい者と健常者の円滑なコミュニケーションは欠かせません。そしてこのシーンでも、AI画像解析技術は活用されています。

視覚障がい者は、形の似ているモノを手触りだけで区別することができません。そこで、例えば大量のカードについて、カードの写真と情報をあらかじめ登録し、iPhoneのカメラでカードを写すと「〇〇カード」と読み上げてくれるスマホアプリ『これなにメモ』をインテックは提供しています。

従来の固有の物体認識技術では、ロゴやイラストなど画像中の特徴的な部分を数値化し、データベース画像とカメラ画像の数値データを比較する手法が知られています。この手法は、物体を認識するカメラ画像を取得するために、物体にカメラを正確に向ける必要がありますが、ピンポイントでカメラを向けることができない視覚障がい者には、敷居が高いという課題がありました。そこでインテックでは、物体の特徴的な部分が少しでもカメラに映っていれば、認識できるように数値データの一部を使って認識する手法を開発。加えて、高速な数値データ比較アルゴリズムを用いることでリアルタイムな動画像処理を実現し、カメラを意識しない利用が可能となりました。

3. 姿勢推定

スポーツ科学や健康管理、エンターテイメントなど、さまざまな領域で姿勢推定が活用されています。

AI画像解析技術は、ビデオや静止画から人間の姿勢を正確に推定することができます。従来、人の姿勢や動きを認識するためには、身体に付けるマーカーや特別なセンサーを使用する方法が一般的でした。

深層学習を使った姿勢推定AIでは、マーカーや特別なセンサーを使わず、一般的なビデオカメラ1台で撮影した映像から、人の骨格を手軽に認識することが出来ます。これにより、アスリートの動きの改善、リハビリテーションの進行状況の追跡、または仮想現実やゲーム内のキャラクターに自然な動きを与えることなどが可能になります。

インテックでは、この技術を用いて日本体操協会のトランポリン日本代表選手らをサポートしています。

姿勢推定AI技術についてより詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
「AIで骨格検出!姿勢推定AI技術の魅力と活用法:スポーツからヘルスケア、匠の伝承まで」

空間のデジタル化、時空のデジタル化を目指して

AIを使った最新の画像解析技術は、ディープラーニングやコンピュータビジョンの分野で大きく進化しています。以前は人手による特徴量抽出が必要でしたが、現在は自動で特徴量を抽出することができ、画像解析技術を使えば、人間には見えない情報を抽出することもできるようになりました。

ただし、AIを使った画像解析技術を実際に現場で活用しようとした時には、未だ多くの課題も残されています。当然ながら、画像やデータに偏りがある場合には、正確な結果を出せません。そのため、AIだけでなく、さまざまな画像解析技術を通じて目的を叶えていくためには経験豊富なパートナーが必要になります。

インテックのAI画像解析ソリューションは、お客様の規模感・課題に合わせたさまざまな事例をご用意しておりますので、ご興味お持ち頂けた方はお問い合わせくださいませ。

インテックでは、画像を解析することは空間のデジタル化であり、映像の複数フレームを連続して解析することは時空のデジタル化であると考えています。AI画像解析による時空のデジタル化を利用するDXソリューションによって、住みやすい活気のある街づくりや安全で効率の良い作業環境づくりを実現してまいります。

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