AIで骨格検出!姿勢推定AI技術の魅力と活用法:スポーツからヘルスケア、匠の伝承まで

姿勢推定AI技術とは?

姿勢推定技術は、画像や動画から人間の身体のポーズや動きを推定する技術です。AI技術(ディープラーニング)を活用し、人間の身体の各部位の位置関係を認識し、それをもとにポーズを解析します。スポーツや医療、セキュリティなどの分野で活用されています。

姿勢推定AIとは、人の顔、関節などの特徴点を衣服の上から検出して人の姿勢を可視化する技術です。これまで体表にマーカーをつけたり、慣性センサーを使うなど手数が必要であったことが、Webカメラやスマートフォンで撮影するだけで、骨格情報の検出が可能になります。これにより、例えば、これまで指導者が演技を観察して、経験を基に指導を行っていた選手の競技姿勢を、数値化して定量的かつ客観的に指導できるようになります。


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広がる姿勢推定AI技術の活用シーン

では、姿勢推定AI技術はどのようなシーンで活用できるのでしょうか。

ヘルスケア×姿勢推定AI

姿勢推定AIは、健康管理やリハビリテーションの分野でも活用されています。たとえば、患者の歩行パターンを解析して、転倒リスクを評価したり、リハビリテーションの進行状況を追跡したりします。また、正しい運動やストレッチのフォームを教え、ユーザーが自宅で適切なエクササイズを行えるようにも使われています。特定の疾患や障害を持つ患者に対して、その状況に合わせた運動プログラムを提供することも可能です。

匠の伝承×姿勢推定AI

伝統工芸や芸術の分野では、高度な技術や動きが要求されますが、その技術は徒弟制度などによって、長期間をかけて伝承されていくことが当たり前でした。しかし、現在の姿勢推定AIは、体骨格だけでなく指の関節までも取得することができ、これらの繊細な動きを解析し、細部まで忠実に再現することが可能です。古い技法の再現や、パターン化を行い、匠の技術をデジタル化することで現在は一部の専門家しか学ぶことのできない貴重な技術や知識を、より広範な人々に普及させることが可能になります。

作業効率の改善×姿勢推定AI

製造業や物流業などでは、作業者の動作の効率性が生産性に直結します。姿勢推定AIは、作業者の動きを解析し、無駄な動きを省き、効率的な動きを見出すことが可能です。また、一方で、作業者の動きを解析し、危険な動きを識別することで、安全性の高い環境づくりにも繋がります。

セキュリティ×姿勢推定AI

姿勢推定AIはセキュリティの強化にも寄与します。例えば、監視カメラの映像から不審な行動を検出したり、行方不明者を探すための人物識別にも利用できます。現代社会において、セキュリティとプライバシーは、特に重要な課題です。姿勢推定AIは、顔や特定の特徴を認識することなく、人間の動きだけを解析することも可能で、プライバシー保護にも寄与します。

スポーツ×姿勢推定AI

スポーツの世界では、プロ選手からアマチュアまで、技術の向上は常に求められています。姿勢推定AI技術は、スポーツ選手のパフォーマンスを分析し、動作の効率性や技術的な問題点を指摘できます。ゴルフスイングや野球の投球、体操の技など、AIは選手の動きを詳細に分析し、改善点を見つけ出すことが可能です。

例えば、トランポリン競技は、トランポリン台の上を跳躍し、10回行われる演技の跳躍時間点、移動点、演技点、難度点の合計点を競うスポーツです。男子では8メートルにも及ぶ跳躍とダイナミックな演技が行われますが、わずかな関節の角度のずれによって演技の出来栄えが大きく左右されてしまう繊細な競技です。姿勢推定AIを使うことで、選手の体の運動情報を計算し、コーチングに役立つ情報の取得や可視化が可能になります。トランポリン演技に特化した姿勢推定AIは、適したモデルの選定と独自データセットによる学習により、トランポリン演技のような非日常的な動作でも、約95%の認識精度で姿勢推定することができます。((公財)日本体操協会保有の映像により評価)

姿勢推定AI技術研究者の声

インテックには「先端技術研究所」という組織があり、姿勢推定AI技術を含め、幅広く技術動向を捉えるとともに、有力な技術に注目し、独自技術にするための研究開発を推進しています。ここでは、その研究者にインテックの姿勢推定AI技術についてミニインタビューを実施しました。

姿勢推定AIの活用方法とは?
先端技術研究所:弊社は2019年度よりトランポリン日本代表のオフィシャルトップスポンサーに就任しております。そこで、弊社の技術を使った支援が何かできないかと考え、姿勢推定技術を使った演技解析システムの開発に取り組むことになりました。モーションキャプチャーや3Dセンサーを必要とする方法よりも手軽で、多くの練習場で活用していただけるものを作りたいと考えています。
トランポリン競技での姿勢推定AI技術で苦労した点は?
先端技術研究所:トランポリン競技では、高く跳躍し空中で複雑に体を回転させます。トランポリンのような非日常的な姿勢の場合は認識精度が落ちる課題がありましたが、日本体操協会様よりいただいだデータを使ってトランポリンデータセットを作成して再学習し、認識精度の改善を行いました。また、トランポリンの動きに適したアルゴリズムの調査や開発は引き続き行っています。
今後、発展させたいポイント
先端技術研究所:より一層トランポリン競技者のお役に立てるよう、コーチや選手の意見を取り入れながら演技解析の改良・データの見せ方の工夫など、指導ツールとしての改善に努めていきたいと思います。

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まとめ

姿勢推定AI技術は、私たちの生活や社会を大きく改善する力を持っていることが明らかです。今後の技術の発展とともに、その応用範囲はさらに広がることでしょう。

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