校務のクラウド化による学校運営の効率化とセキュリティの重要性とは?

校務のクラウド化は、現代の学校運営において重要な役割を果たしています。
テクノロジーの導入により、効率的な学校運営とセキュリティの向上を実現し、教育環境を大きく改善させることが可能です。しかし、学校現場で指導する多くの教職員にとっては、「校務のクラウド化」はまだ馴染みのない言葉かもしれません。

本記事では、校務のクラウド化の基本を解説するとともに、校務のクラウド化のメリットについて説明します。
クラウド化が学校運営にどのように貢献するのか、そしてクラウド化を実現するうえで不可欠なセキュリティ対策についても解説します。

校務のクラウド化とは

校務のクラウド化とは、学校運営におけるデジタル化の一環で、教育現場の情報管理や業務を、クラウドサービスを活用して行うことです。教育委員会や学校は、従来の物理的なサーバーやネットワーク機器に依存することなく、インターネット経由でデータやアプリケーションにアクセスできるようになります。

昨今の働き方改革により在宅勤務が一般化し、柔軟に働く時間や場所を選択できるようになりました。教育分野でも、校務情報を外部に持ち出すことで、より柔軟で効率的な働き方を可能にする動きが進んでいます。例えば、文部科学省が推進している「GIGAスクール構想」ではクラウドサービスの利用が前提とされており、学籍や成績などの重要な情報もクラウド上で管理できるよう、推進されています。

また、文部科学省の「次世代の校務デジタル化推進実証事業」では、統合型校務支援システムを含む校務関連のシステムもクラウド化することで、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)を支える基盤ツールの整備や活用を進めています。これによって、教職員の業務負担軽減や効率的な校務実施手順の確立を目指しています。

校務のクラウド化のメリット

校務のクラウド化によって得られるメリットは以下のとおりです。

学校運営の効率化

児童・生徒1人1台端末の整備や、学校のICT環境の整備を実現するGIGAスクール構想では、教職員の勤務実態においてもICT活用が推進されており、教職員が時間と場所を選ばずに効率的な作業ができるようになります。
さらに、繰り返しの作業や複雑なプロセスが自動化されるため、手間と時間を大幅に節約することが可能です。また、保護者へのアンケートや通知をデジタル化すれば教職員は紙ベースの作業から解放され、より効果的にリソースを活用できるようになります。

クラウドにおけるデータの安全性

クラウドサービスでは、データのセキュリティについて専門的な知識を持つ事業者がサーバーの管理を行います。さらに、セキュリティアップデートを自動的に実施し、新たな脅威に対して迅速に対処できます。
これにより、システムは常に最新のセキュリティ対策を維持することができます。また、データは複数の地理的に分散したサーバーに保存されているため、災害や停電時にもデータは安全に保たれます。

教職員間コミュニケーションの活発化

異なる教科や学年の教職員同士が円滑にコミュニケーションできるようになります。
例えば、チャットツールを活用することで、教職員同士の連絡が容易になります。これにより、教育関連の出来事や変更事項、緊急のお知らせなどを迅速に共有でき、学校全体の運営が円滑化します。
また、オンライン会議ツールを利用することで、場所を選ばずに教育方法や教材の改善についてのディスカッションを行うことも可能です。

校務のクラウド化とセキュリティ

校務のクラウド化が教育現場にもたらすメリットは大きい一方、セキュリティに関しては注意が必要です。校務のクラウド化におけるセキュリティの重要なポイントは以下のとおりです。

適切なセキュリティ対策

クラウドサービスの利用においては、ネットワークを内部と外部に分け、「内部は安全、外部は危険」とする従来の境界型のセキュリティ対策から、「内部でも外部でもすべて信用しない」「利用するネットワークや場所にとらわれない」ゼロトラスト型の新たなセキュリティ対策が求められています。
ゼロトラスト型セキュリティでは校務情報を不正なアクセスやウィルス感染から守るために、すべてのアクセスに対してID /端末認証を行い、セキュリティを高める必要があります。


*ゼロトラストについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

関連記事 ゼロトラストとは?従来の境界型防御だけでは不十分な時代に

法的規制とプライバシー保護

令和3年に改正された個人情報保護法により、これまで行政機関や地方公共団体ごとに異なる法律や規則で規定されていた個人情報の取り扱いに関するルールが統一され、個人情報保護委員会の管理下に一元化されるようになりました(令和5年4月1日から施行)。
しかし現時点では、地方公共団体ごとに定められた個人情報保護条例に準拠する必要があるため、クラウドサービスを活用して個人情報を取り扱う場合には、個人情報保護審査議会への諮問答申を得る必要があります。

校務のクラウド化導入のポイント

校務のクラウド化導入に向けたポイントは以下のとおりです。

教職員向けのトレーニングとサポート

教職員は、校務のクラウド化に伴い、自宅や出張先でも校務処理が可能な環境に適応する必要があります。教職員が新しいツールやプラットフォームを活用できるように、トレーニングの実施やサポート体制の整備をする必要があります。
学校に所属する全職員が、スムーズにクラウドシステムを活用できるように、マニュアルの整備や研修会などを積極的に検討しましょう。また、クラウドサービスを導入する際には、サポートが充実したサービスを選択することが大切です。

効果的なクラウドサービスの選択

クラウドサービスを選ぶ際に重要な観点は、データ標準化とリアルタイムでのデータ連携機能です。
学校では成績表や通信簿、出欠表などの標準化が進んでいないケースも多く、しばしばデジタル化・クラウド化の阻害要因となります。データ連携や標準化に強みを持つクラウドサービスを厳選しましょう。

校務情報セキュリティの整備とセキュリティポリシーの遵守

前述のように、ゼロトラストの考えに基づいたセキュリティ対策も重要です。
クラウドサービス事業者が利用者の認証やアクセス制御、クラウドに保管するデータの暗号化などのセキュリティ対策を講じているか、自組織のセキュリティポリシーを満たしているかを確認する必要があります。

また学校教育の現場では、教職員や児童生徒が守るべき情報資産に触れることから「教育情報セキュリティポリシー」を定めることを求められています。
一方で、令和 5 年時点で学校教育独自の教育情報セキュリティポリシーを定めている割合は以下のように半数となっており、セキュリティポリシーの策定と遵守を行うことが必要です。

・学校教育独自の教育情報セキュリティポリシーを定めている:50%
・教育委員会が所属する地方公共団体の情報セキュリティポリシーを準用:35%
・情報セキュリティポリシー自体を策定しておらず、準用もしていない: 15%

*参考:文部科学省 教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン (令和6年1月)

アクセス遅延ないクラウド基盤の確保

校務系・学習系のネットワークを統合した場合、授業開始に合わせて児童が一斉にアクセスするため、非常に大きな通信負荷がかかってしまいます。その都度校務や授業が止まってしまうといった問題が発生しないよう、アクセス遅延のないネットワーク基盤を確保することも重要です。



*事例紹介ページにて高岡市教育委員会様の取り組み事例を紹介しています。

事例紹介最新版文部科学省セキュリティガイドラインに則した校務のクラウド化で、教職員の働き方が変化!
支えるのは「技術・制度・運用が揃った教育情報セキュリティ管理基準」と「インテックの技術力」

専門的な知見とサポートで円滑な校務のクラウド化を

今回の記事では、校務のクラウド化の基本概念からメリット、セキュリティ面の重要性、導入におけるポイントを解説しました。

校務のクラウド化には、教育現場の運営効率化、データの安全な管理などの多くのメリットがあります。しかし、その導入と実施には、教職員のための十分なトレーニングとサポート、効果的なクラウドサービスの選択、安全安定なクラウド基盤の確保が不可欠です。


そのため、校務のクラウド化の実現には、専門的な知見とサポートが欠かせません。 インテックは、校務のクラウド化のプロセスを全面的にサポートする『校務のクラウド化支援』を提供しています。学校のニーズに合わせたカスタマイズ、セキュリティの強化、効率的な運用を実現するためのサービスを提供し、教育現場のデジタル変革を支援します。校務のクラウド化に関心がある、クラウドを推進しているものの課題感があるといった方は、ぜひインテックまでお問い合わせください。


*インテックが提供する「校務のクラウド化支援」の詳細はこちらのページをご覧ください

校務のクラウド化支援

公開日 2024年05月17日

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  • ゼロトラストセキュリティで実現!安全な校務のクラウド化とは

    これまで学校現場では、内部ネットワークのなかにサーバを構築し、限定した場所や端末から内部ネットワークを利用する「オンプレミス」でのシステム形態が主流となっていました。しかし、これからはどこからでもアクセスして校務が行える「クラウド化」の実現が求められます。
    クラウド化をゼロトラストセキュリティで安全に実現するためのポイントを紹介します。

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