新たな価値を創造し"ワークスタイル変革"への挑戦を成功に導く『デザイン思考』とは?

コロナ禍以降、デジタル技術を使った新たなワークスタイルが注目されており、デジタルツールを導入することで業務変革や経営への活用を目指す企業が増加しています。

さらに導入するだけでなく、利用者の抱える問題を多面的・多角的に捉え、解決していく「体験」をするための新たな思考法として、「デザイン思考」が求められています。デザイン思考プロセスは、計画通りに生産する工場とは違い、新しいものを探索するモノづくりの"アトリエ"のような思考プロセスとなります。

今回のコラムでは、デザイン思考を培うためのマインドセットやファシリテーターのスキルと注意点など、具体的な事例をもとにお届けします。


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デザイン思考とは?

デザイン思考とは、短期間に実効性や創造性のあるアイデアを生み出すためのプロセスとして確立された思考方法となります。ヒトの活動に注目し、共感することで問題を発見・解決し、製品の開発や経営戦略の策定につなげることもできます。

  • 型にハマった考え方での手詰まり感を解消し、より柔軟で自由に考えることを手助けをします
  • アイデアを生み出し、繰り返すことで実行可能なプランに落とし込むことができます
  • 選択肢を実行し、その結果を検証し、選択肢の改善や洞察を得ることができます
  • ヒトに焦点を当て、ヒトの抱える問題を発見することができます
  • チームメンバー間でのコミュニケーションや共感が向上し、組織コミットメントを高めることができます
  • 従来の業務やプロセス、組織文化の変化を促進することができます
  • 新しい考え方、作り方、行動を引き起こすことで、イノベーションへの道を開きます
  • データ・ドリブンではなく、参加者全員が共感できるアイデアを生み出します

デザイン思考の5つのプロセス

複雑に絡み合った現実を直視し、あらゆる可能性を考えて問題・課題を発見し、試行錯誤することで解決方法を探索するデザイン思考には5つのステップがあります。

1.共感
解決するべき問題・課題を正しく捉える手がかりはヒトにあると考え、自分の知っていること、想像できることを提示・共感する
2.問題定義
参加者で共有した腑落ちする問題・課題を整理し、組み合わせることで新たな「意味」を定義する
3.問題解決
問題・課題とソリューションの組み合わせを設計し、重要度を把握する
4.プロトタイプ
プロトタイプを開発し、アイデアを具現化することで、未知の問題につながる情報を見出す
5.テスト
アイデアやプロトタイプを実際のユーザーとテストし、修正する

デザイン思考を身につけるためのマインドセット

デザイン思考を実践するために重要な5つのマインドセットがあります。

1.ヒトを中心に思考する

人々の置かれた状況を知り、得た理解に基づき思考・行動をすることです。そのためには、関係者との対話を繰り返し、実際の現場に足を運ぶことが重要です。実際に体験することは真の理解につながり、それまでとは異なるアウトプットが生まれます。

2.言葉や数値が重要ではない

ヒトには言語化できない知識や考え、アイデアがあります。自分の内部にある考えやアイデアを場合によってはスケッチなどで表現し、意味やストーリーを伝えることが重要です。それにより他者の気づきを表面化させ、新たな情報を引き出すことができます。

3.あいまいさやユニークな考えを受け入れる

正しい表現や考えというものはありません。すべての意見に対し、意味を明確にするために質問することはあっても、批判してはいけません。異なる専門知識や能力を持つメンバーが集まれば、気づく内容に違いが生まれ、この気づきの多様性が新たな発見に繋がります。

4.アイデアとストーリーに質問を投げる

アイデアからさらに意味を引き出し、より明確にするために必ず質問をします。他者のアイデアにはその意図や理由ではなく、アイデアそのものや、アイデアと語られるストーリーの関係について質問をします。意味を決めつけないように質問しましょう。

5.アイデアが出ない場合でも何かを表現する

手を動かすことで、ただ考えているだけでは出てこないアイデアが出てくるという研究結果があります。アイデア発想に行き詰まった時はメッセージでもなんでもいいので、書いてみるようにしましょう。

デザイン思考を活用したワークショップに必要なファシリテータのスキル

デザイン思考はその手順を踏めば誰もが成果を生み出せるわけではありません。デザイン思考を十分に活用できるようになるためにはワークショップのように実践的な訓練が必要です。

デザイン思考を活用したワークショップでうまく思考をまとめるには、5つのステップやマインドセットだけではなく、ファシリテーションを行う人物(ファシリテータ)のスキルも必要です。

ファシリテータは、参加者のマインドセットに注意しながら、場をガイドすることで、グループコミュニケーションを活性化させ、問題解決を手助けします。また、ワークショッププログラムの進行とともに、思考をどんどん深め、ディスカッションや知識共有、問題解決を進めるために、参加者一人ひとりが前のめりにアイデアを出せるような進行が必要となります。ここでは、ファシリテータの5つのスキルを紹介します。

1.可視化する

アイコンや画像を使って、参加者が重要視している考えを可視化しましょう。これにより、チームメンバーが注目しているポイントを理解することができます。参加者の考えを形に変えて注目させることで、意図や理由に言及せず、「なんでも発言できる」という安心の場をつくります。

2.遊び心を持つ

遊び心のある雰囲気を作ることは心理的に安全な空間を作るのに役に立ちます。人々が安全だと感じるなら、よりクリエイティブな発想や意見が出やすくなります。

3.非日常を試す

さまざまな視点(ビジネス以外でも)を検討してください。従来の発想方法とは異なる方法を試すことで、固定的な視点や思考から解き放たれ、新しくて珍しいアイデアを抽出することができます。

4.フィードバック

挑戦したことに対するフィードバックをより多く集めてください。繰り返し行うことで新たな気づきは生まれ、最終的に導き出すソリューションが洗練されます。

5.具体化する

言語や数値表現でなく、非言語表現を積極的に試してみてください。ビジネス用語や数値以外で考えを具体化することで、未だ表現されていない複雑であいまいな情報を対話によって表出することができます。

デザイン思考ワークショップの注意点

デザイン思考ワークショップを実施するために、特に注意することは以下の2点となります。

1.問いを立てる

日常と変わらない雰囲気だと新しいアイデアや解決策が生まれにくいので、気持ちをリフレッシュする環境を作るために、適切な問いを設計することが重要です。問いは、参加者が誤解することなく、6~15分で回答できるものが望ましいです。そのため、問いを立てることは狙いを定めることに例えられます。打つ前には狙いをよく定めるように、問いも伝える前によく考えて用意しておく必要があります。

2.ファシリテータが役割を理解している

参加者の回答はすべて聞かなければならず、発表された回答はどれも正しいです。ワークショップのファシリテータになる場合は、意見やアドバイス、否定的なコメントを出さないように注意しましょう。特に組織内のメンバーだけで実施する場合は、全員の意見を聞き出せなかったり、狙いを正しく定められなかったり、回答を曖昧にしてしまう傾向があります。ファシリテータは外部の方に依頼する方がいいでしょう。

※「働き方変革フレキシブルサポート」は、協業パートナーのアバナード株式会社と共同で提供するサービスとなります

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デザイン思考ワークショップの具体的事例

ある製造業の従業員6名に対して、Microsoft365を使ってナレッジマネジメントシステムを実現するためのワークショップを実施しました。

Microsoft 365を使った活用事例はインターネット上に多く掲載されていますが、机上の情報を鵜呑みにしてソリューションを決断するのではなく、参加者全員が実際に一つ一つサービスを触り、意見を言い合い、各サービスがどのような機能なのかを理解すると同時に、それぞれの考えを発表することで、マインドセットを浸透させていきました。

ファシリテータは、よりアイデアが出るように実業務をロールプレイすることで、実際に体験しながら対象となるヒトを理解し、問題を発見するための観察を行い、動作・表情・感情・シチュエーションとの関係や時間経過に伴う変化を記録するようにしました。このワークショップでは、思考をまとめるためのツールが提供されており、共感マップ、ペルソナ、感情曲線、ユーザーストーリーを活用することで思考を深掘りしていきました。

これらのツールでできた仮説を検証するために、Microsoft 365でプロトタイプを作り、テストで失敗すれば新しいプロトタイプを作る、これを繰り返すことで、Microsoft365を使ったナレッジマネジメントシステムを作り上げていきました。

このワークショップを通じて、参加者全員にマインドセットが浸透し、失敗から成功に向けて繰り返し修正したという実績が重要です。こうした経験がデザイン思考を身につける訓練となり、例え働き方が変わったとしても従業員は追随することができます。

ユーザーストーリーのイメージ図

まとめ

いかがでしたでしょうか。ワークスタイル変革など利用者にとって影響の大きい改革を促進させるためには、日頃からデザイン思考を活用した継続的な組織運営、教育、訓練が大切となります。

新しい問題・課題に直面しても、自分たちで考え、答えを探求していくことを導くために、デザイン思考の5つのステップを実践し、適切なマインドセットと思考ツールを使用するスキルが必要です。そうすることで、複雑であいまいな問題に対しても、革新的な仮説を立て、試行錯誤を繰り返しながら前進するメンバーやチームを作ることができます。

デザイン思考を持つDX人材の育成、社内での内製化の推進、Microsoft製品の利活用などを実現するために「ワークスタイル変革支援サービス」の資料をご用意しました。ぜひご覧ください。


DX人材について、こちらの記事も合わせてご覧ください。

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公開日 2022年12月07日

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