効果的なネットワークセキュリティとは?実際の被害事例や導入のポイントを解説

近年のワークスタイル変革により、リモートワークなどの働き方が定着したことで、社員が社外からもインターネットを使って企業ITシステムを利用することが多くなりました。その分、第三者による悪意ある企業ITシステムへの侵入が行われたり、企業が保有する情報資産が流出したりするなどのトラブルも増えています。

そこで、企業の情報資産を守るために必要なのが「ネットワークセキュリティ」です。
ネットワークの効果的なセキュリティ対策に適切に取り組まなければ、企業はさまざまなリスクにさらされてしまいます。

この記事では企業のIT管理者に向けて、ネットワークセキュリティについて、その概要や重要性、実際の被害事例、導入のポイントなどを解説します。

ネットワークセキュリティとは

ネットワークセキュリティとは、インターネットを介したサイバー犯罪や内部からの情報流出など、ネットワーク上で起こり得るリスクを防ぎ、デバイスやデータ、システム、アプリケーションを保護するための対策や技術です。

不正アクセスを防ぎ、ユーザーが安心してインターネットを利用できるようにします。

ネットワークセキュリティの重要性

セキュリティ対策を十分に行っていないと、企業の信頼性や競争力の低下を招く恐れがあります。
サイバー攻撃などにより顧客の個人情報や企業の情報資産が流出してしまうと、顧客からの信頼を損ねたり賠償請求につながったりと、企業にとっては大きなリスクです。また、長時間にわたるサービス停止を余儀なくされる恐れもあります。

このようにネットワークのセキュリティ対策を行うことは非常に重要です。
実際にセキュリティ対策を十分にしていなかったことで起きた被害事例を次章で見てみましょう。

サイバー攻撃による被害事例

実際に起きたサイバー攻撃による被害事例を紹介します。

VPNの脆弱(ぜいじゃく)性を突いたサイバー攻撃

A社は2020年にVPN(Virtual Private Network)通信機器に対する大規模なサイバー攻撃を受け、企業の機密情報や個人情報が流出してしまいました。
海外のデータセンターに設置されていたVPN装置に不正アクセスの痕跡があり、監視や検知をすり抜ける高度な手法が用いられています。
A社は被害に遭った可能性がある人にお詫びするとともに、問い合わせ窓口を設置するなどの対応に追われました。

2,000件のメールアドレスが流出

ある大学では、不正アクセスにより約2,000件ものメールアドレスが漏えいしました。
セキュリティの脆弱性を狙った攻撃を3回にわたって受けたといいます。
攻撃手法はSQLインジェクションを用いており、大学は新たなシステム導入をするなどの対策を検討しました。

代表的なネットワークセキュリティ

一般的によく使われるネットワークセキュリティについて紹介します。

UTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)

UTMは、さまざまな脅威から包括的に社内のネットワークを守る概念です。

インターネットと自社のITシステムの接続境界に設置し、通信に使用するIPアドレスなどの情報をもとに、設定されたルールに沿って通信の許可・拒否をする「ファイアウォール」や、不正なトラフィックを検知する「IDS(Intrusion Detection System)」、不正侵入を防御する「IPS(Intrusion Prevention System)」、アンチウイルス、アンチスパムなどのセキュリティ機能を統合しています。

アクセス制御

データおよびデータを操作するためのソフトウェアへのアクセス権を、利用者の認証やIPアドレスの特定によって制限する手法です。
外部からの不正アクセスを防止することができるほか、内部脅威のリスク軽減が可能です。

フィルタリングサービス

メールやWebサイトに対して、適切なものであるかフィルタリングを行うサービスです。
危険性の高いWebサイトへのアクセスを自動でブロックします。

携帯電話事業者などが提供しているサービスでは、主に青少年を有害サイトから守るために利用されますが、企業向けに作られたWebサイトのフィルタリングサービスは、業務に不適切なサイトの利用を制限するために利用されています。
メールのフィルタリングサービスでは、企業へ届くメールのうち、偽装されたメールアドレスから届いたもの、悪質な大量メール配信業者から届いたものを除去します。また、添付ファイルの禁止や上長承認などの利用ルールを統制する機能を提供するものもあります。

効果的なセキュリティシステム

複雑化するネットワークを、高度化する悪質なサイバー攻撃から守るためのシステムを紹介します。

NDR(Network Detection and Response)

トラフィックを分析して、不正アクセスやマルウェアなどの異常を検知し、管理者に通知してくれるソリューションです。
侵入を100%防ぐことは難しいものであるため、ネットワークへ侵入した脅威をリアルタイムで見つけ出し、複雑なIT環境を守ることを目的としています。

EDR(Endpoint Detection and Response)

ネットワーク上で検知するのがNDRであるのに対して、パソコンなどの端末内での脅威を検知し、分析や管理者等への通知による迅速なリスクの把握を行うのがEDRです。


*EDRについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

関連記事 EDRとは?企業を守る次世代セキュリティ技術の解説

CASB(キャスビー/Cloud Access Security Broker)

クラウドサービス(SaaS)のアクセスを可視化し、機密情報のアップロードといったデータ流出の阻止、許可されていないSaaS利用の禁止または通知などを行うソリューションです。
2012年に米ガートナー社により提唱されました。ユーザーとクラウドサービスとの間に配置し、クラウド利用を制御・管理する仕組みです。内部不正の検知や是正を自動化し、記録します。

SASE(サシー/Secure Access Service Edge)

ネットワークとセキュリティを管理するフレームワークです。
内部・外部を問わずネットワークの脅威を取り除き、安全に利用できる環境を実現します。


*SASEについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

関連記事 リモートワーク時代のセキュリティフレーム「SASE」とは?SASEの概要や求められる背景についても解説

ネットワークセキュリティ導入のポイント4つ

ネットワークセキュリティを導入し、効果的に活用するにはいくつかのポイントがあります。
ここでは主なポイントを4つ紹介します。

社内調査でセキュリティ課題を知る

まずは、社内調査で自社ネットワークのセキュリティ課題を知ることが重要です。
現在のシステムや保有している情報財産など、現状や問題点を把握しないまま新たなシステムを導入しても、効果的とは言えません。

セキュリティ状況についてチェックシートなどで調査し、会社全体の状況を把握しましょう。
そうすることで、必要なセキュリティシステムが見えてきます。

適したセキュリティを選定する

社内システムの課題を解決できるようなサービス、システムがないか洗い出します。
上述のチェックシートで割り出した課題をもとに、優先順位をつけて必要なシステムを選ぶようにしてください。

予算についても考慮する必要があります。
セキュリティシステムは継続して必要となるため、ランニングコストについても考えることは重要です。予算と照らし合わせたセキュリティシステムの選定を行いましょう。

定期的にチェック、評価、改善を行う

一度セキュリティシステムを構築したからといって、それで終わりではありません。
定期的に運用について見直すことも大切です。

IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 」では、情報セキュリティに関する最新情報を定期的に収集することを求めています。
収集した情報をもとに定期的に改善を施し、強化していきましょう。

専門の外部パートナーにアウトソーシングする

より強固な対策に取り組むのであれば、専門の外部パートナーにアウトソーシングする手もあります。
セキュリティ対策は専門性が高く担当者の負担も大きいため、人手不足解消や生産性の向上につながるでしょう。

自社の業務に合ったセキュリティの導入を

ネットワークを攻撃する方法はますます巧妙化・悪質化しています。
そのため、企業は時代に合わせたネットワークのセキュリティ対策が求められます。
最近では新たなセキュリティ対策として、NDRやSASEなども注目されています。

効果的な対策を行うには、まず自社の課題を洗い出し、必要な仕組み・システムの導入を進めてください。
ネットワークの安全性をさらに高めたいならば、専門業者にアウトソーシングするのも有効です。

インテックでは、セキュリティ課題を解決するさまざまなサービスを提供しています。
これまでの実績と専門的な知識でお客様の課題に寄り添い、最適なソリューションのご提案を行います。
ネットワークセキュリティでお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

公開日 2023年12月22日

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