インテックが挑んだワークスタイル変革

持続的成長のカギは社員のWell-being 「インフラ」「制度・文化」の2軸で働き方改革に挑む

コロナ禍を機に加速した企業のリモートワークへのシフト。これを"嵐"が過ぎるまでの一時しのぎと捉えるか、働き方を変えるチャンスと捉えるかでその後の命運は大きく変わる。独立系システムインタグレーターのインテックは、コロナ禍をきっかけに新時代の成長戦略に向けた一歩を踏み出した。また同社は、ここで得た経験をサービスに還元することで、顧客企業の変革を後押ししている。同社のキーパーソンに変革推進のポイントを聞いた。

インテックは、柔軟な働き方の定着および推進に課題を有するお客様に対し、
課題解決に向けたサービス『ワークスタイル変革支援サービス』を提供しています。

社員一人ひとりが働き方を自律的に選んで仕事する

株式会社インテック
専務執行役員
テクノロジー&マーケティング本部
ビジネスイノベーション事業部担当
ビジネスイノベーション事業部長
今里 直人氏

日本の労働力人口は1995年の8716万人をピークに減少し続けている。2030年には644万人の人手不足になるといわれる中、企業が持続的な成長を実現するためには、労働生産性を高めることが不可欠になっている。

また、「VUCA」の時代といわれるように、現在はわずか数年先の社会環境も見通すことが難しくなっている。新型コロナウイルスに代表される感染症、自然災害や気候変動に加え、地政学的リスクも考慮しなければならない。突如起こる変化に即応し、ビジネス継続性を確保するには、社員が時間や場所に左右されずに働ける、新しいワークスタイルを実現することがカギになるだろう。

このような状況のもと、全社規模のワークスタイル変革に取り組み、成果につなげる企業がある。TISインテックグループのシステムインテグレーター、インテックだ。同社は、柔軟な働き方を支えるインフラ基盤を整備するとともに、人事制度や企業文化そのものもアップデートすることで持続的成長の原動力としている。

「コロナ禍では、それまで50人程度だった在宅勤務者を一気に3500人程度まで増やす必要性に迫られました。すぐさまリモートワークに必要なデバイスやネットワーク環境を整えましたが、追い付かない部分もあり、業務生産性の低下が懸念されました」とインテックの今里 直人氏は振り返る。

だが、同社はこのピンチを変革のチャンスと捉えた。組織の力を高めるには、個々の社員がポテンシャルを最大限に発揮することが肝心だ。それには、社員に対して、働き方に関する幅広い選択肢と、魅力ある環境を提供することが重要だと考えたのだ。

株式会社インテック
常務執行役員
人事本部担当
人事本部長
宮下 毅氏

「第一に重視したのは社員のWell-being(健康、幸せ)です。社員一人ひとりが働き方を自律的に選んで仕事することで、心身の充実を図る。このことが仕事の生産性向上につながり、ひいては組織全体の業績アップにつながると考えました。それにはインフラを抜本的に見直すとともに、働き方に関するルール、人事制度、さらには企業文化などの改革も進めることが必要だと我々は考えました」と同社の宮下 毅氏は語る。

人事部門主導型で4つの領域の取り組みを推進

この方針のもと、インテックは大きく4つの領域で取り組みを進めた。

1.ITインフラ面の変革

全社員にノートPCを配布し、情報流出リスクが低い仮想デスクトップ環境(VDI)をクラウド型で提供した。「将来的なオフィス縮小を見越して、このスタイルを選択しました。さらなる環境変化や、ビジネスのパラダイムシフトが起きても、社員がどこでも働けるような体制を整えています」と今里氏は説明する。同時に基幹ネットワークや社内Wi-Fiを増速して快適さを追求するとともに、リモートアクセスを前提としたセキュリティー対策も拡充。その上で、Microsoft 365へのアクセスは個々人のPCから直接インターネットにつなぐ「ローカルブレークアウト」方式にすることで、社内ネットワークのひっ迫に起因する業務効率低下を回避している。


*インテックのワークスタイル変革成功事例の詳細は、こちらの導入事例をご覧ください。

導入事例 オンプレミスVDIをクラウドVDIに移行 コロナ禍でのハイブリッドワークを実現し今後を見据えた柔軟な働き方を可能に

2.仕事のやり方の変革

Zoom、Teamsなどのデジタルツールを活用して社内コミュニケーションを強化した。ミーティングや営業活動を大きくデジタル化したほか、社内業務や契約書の電子化を進めて「ハンコレス」も実現。押印のためにオフィスに出社するムダも削減している。

3.人事制度面の変革

まず、在宅勤務や時短勤務、フレックスタイム制などをより多くの社員が利用できるようにするため、規程の見直しを行った。

人材育成面では、オンラインの研修を拡充し、リアル開催の集合研修と組み合わせて実施。人事評価の軸も成果重視型へシフトし、「どれだけ働いたか」ではなく「いつまでに何をしたか」を見るようにした。「また、在宅勤務が続くと孤独感が強まり、メンタル面の不調を抱える社員が増えがちです。これを解消するためメンタルヘルスのサポート体制も強化しています」と宮下氏は付け加える。

4.企業文化面の変革

上司と部下の1on1ミーティングの頻度を上げ、「月1回以上」とした。内容も、よりフランクな会話を行うよう促しているという。「『対話型組織』への転換を図ることで、各社員が組織のミッションに共感し、誇りを持って働けるようにしたいと考えています。人事制度・文化の領域で、特に力を入れたのはこの取り組みでした」と宮下氏は言う。

加えて特徴的なのは、インテックがこれら一連の取り組みを人事部門主導で推進した点である。社員教育や労務などを担う人事部門が、関係部署と話し合いながら取り組む。これによりIT、制度、文化などの多面的な改革を効率的に進めることができたという。

「もちろん、その過程では大変なこともたくさんありましたが、情報をオープンにすることを常に心掛けました。人事部門が何を目指しており、現在までに何ができているのか、うまくいっていないことは何なのか。情報を包み隠さず社内に公開することで、関係各所の信頼を得ることができたと考えています」(宮下氏)

「働きがいのある会社だ」と考える社員が大きく増加

ワークスタイル変革の取り組みを経て、インテック社員の意識も大きく変わった。

例えば、1on1に対する社内アンケートの結果では「やってよかった」という評価が7割に達した。また定期的に行っているモラールサーベイ(従業員意識調査)では、「働きがいのある会社だと感じる」との回答が、2019年からの2年間で12ポイント増加した。「IT、制度、文化の一体変革により、生産性を維持・向上しつつ、社員が自律的にやりがいを持って働ける体制が整いつつあります」と今里氏は述べる。

首都圏にある同社事業所の在宅勤務率は50%~60%台で推移しており、ハイブリッドワークが定着しつつある。これを踏まえて同社は、オフィスフロアの17%をグループ企業へ移管し、固定電話も700台削減した。今後も随時、グループ全体のオフィスコスト最適化を図っていく構えだ。

さらに、このような取り組みで培った経験は、ソリューションの形で同社の顧客に還元されていく。それが「ワークスタイル変革支援サービス」だ(図)。

図 ワークスタイル変革支援サービス
かねてインテックが提供してきた多彩なITソリューション群を、ワークスタイル変革支援の切り口で再編/追加して提供する。
現状の診断を行い、課題を可視化した上で必要なソリューションを提案するほか、ワークショップ型のコンサルティングも提供可能だ。

「自らの取り組みで得た知見・ノウハウを惜しみなく提供することで、企業における新しいワークスタイルの定着と、それによる価値創造をご支援します。人口減少局面にある日本において、業務現場の柔軟性向上、ダイバーシティ&インクルージョン推進は不可欠な取り組みです。そのための土台をしっかりつくり、進化・成長させていく。ワークスタイル変革に挑むお客様に、少しでも貢献できればと思います」と今里氏は語る。

コロナ禍のリモートワークを急場しのぎと捉えるか、組織変革のチャンスと捉えるか――。一歩を踏み出した企業とそうでない企業の差は、数年後に明らかになるだろう。インテックの取り組みは、ワークスタイル変革を進める多くの企業に重要なヒントを与えてくれるものといえそうだ。

インテックは、柔軟な働き方の定着および推進に課題を有するお客様に対し、、
課題解決に向けたサービス『ワークスタイル変革支援サービス』を提供しています。

  • 本資料は日経ビジネス電子版 SPECIALにて2022年9月30日より掲載した内容を日経BPの許諾を経て掲載しています。
  • 掲載内容は、2022年9月現在のものです。
  • 2023年7月、「ワークスタイル変革支援サービス」の構成する3つのサービスは、ワークスタイル変革に挑むお客様をリモートワークに留まらずサポートするため、また、より分かりやすいサービスを目指すため、サービス名称の変更を行いました。
    • リモートワーク診断サービス       ➤  働き方アセスメント
    • リモートワーク課題解決ソリューション  ➤  働き方課題解決策の提案
    • リモートワーク価値創造コンサルティング ➤  働き方変革フレキシブルサポート

今後も、よろしくお願いいたします。

公開日 2022年10月31日

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    本資料はワークスタイル変革に取り組むお客様に向けて、現状の把握から個々の課題解決、伴走型サポートによる更なる価値創造まで、トータルで柔軟な働き方の定着および促進を支援する「ワークスタイル変革支援サービス」を紹介しております。

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