EDIの種類と違いは?EDI選びのポイントを解説

2024年1月から、INS回線サービスを利用したEDI(Electronic Data Interchange)取引が従来通り出来なくなります。いわゆるEDI2024年問題です。これに伴い、従来型EDIを利用中の企業は、インターネットEDIへの移行が必要だと言われています。しかし、EDI移行とは、具体的にどういったことをするのでしょうか。一口にEDIといっても、さまざまな種類があります。そもそも、自社ではどのようなEDIを使っていて、これから何に移行するべきなのでしょうか。ここでは、EDIの種類や関連する用語について整理します。

レガシー(従来型)EDIとインターネットEDI

レガシーEDIまたは「従来型EDI」とは何でしょうか。また、「インターネットEDI」との違いは何なのでしょうか。それぞれの定義やプロトコル、フォーマットについて簡単にご紹介します。

レガシーEDI

定義
通信手段に電話回線を用いる従来型のEDI
プロトコル
全銀協標準通信プロトコル(ベーシック手順)、全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順)、JCA手順

インターネットEDI

定義
通信手段にインターネットを用いるEDI
プロトコル
JX手順、ebXML MS、FTP、HTTPS、インターネットに対応した新EDI標準の全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP・広域IP網)など

EDIは通信手段の違いにより、従来型のEDIである「レガシーEDI」と、「インターネットEDI」とに分かれます。

時代はインターネットEDIへ

2024年問題を見越して、インターネットEDIへ移行する企業が増えています。電話回線と比べ、インターネットの回線速度は非常に高速で、加えてさまざまな通信プロトコルにも対応しています。

さらに、インターネットEDIに関するアウトソーシングサービスを提供している企業もあり、自社で一からシステム構築の必要がありません。事業拡大や仕様変更時にも、運用・管理をアウトソーシングできるため、スピーディな事業展開が可能です。

Web-EDIとインターネットEDIの違いは?

Web-EDIは、ウェブブラウザを使ったEDIです。導入コストが削減でき、気軽に利用できる一方、人の手による入力などの操作が必要です。また、Web-EDIは標準化されていないため、データ交換先企業とフォーマットが異なる場合は、個別に対応しなければなりません。

インターネットEDIは、インターネットを介してデータを送受信し、作業が自動処理化されるEDIのことです。社内バックオフィスでの作業負担が大幅に軽減されます。

Web-EDIとインターネットEDIは、いずれも通信回線にインターネットを用いる点では同じですが、前述のとおりWeb-EDIは手入力が必要なことから、インターネットEDIとは異なります。世界的には、インターネットEDIが主流になっています。

EDIの種類(用途別)と業界標準化

現在利用されているEDIには、いくつかの種類があります。それぞれの特徴と違いについてみていきましょう。

まず、用途別による分類があります。

個別EDI

取引先企業ごとに識別コードなどのルールを設定できます。取引先がそれほど多くない場合におすすめです。細かな設定が可能ですが、各取引先企業のフォーマットに合わせたシステムやルールの設定など、個別対応が必要になるため、運用負担が増える傾向にあります。

標準EDI

ルールやフォーマットが標準化されています。同じ規格を利用している複数企業とのやりとりがスムーズです。そのため、個別EDIと比べると、運用負担が減ります。

業界標準化と業界VAN

EDIは業界ごとに標準化が進んでいます。また、標準EDIの中には、特定の業界向けに商品および取引先コードが統一された個別の業界VAN(Value Added Network:付加価値通信網)があり、同じ業界でのデータ交換をスムーズに行えるようになっています。一方、業界を越えた取引が多い企業は、複数の業界VANを利用しなければならないという問題があります。

主な業界VAN

FINET

酒類・加工食品業界のVANで、約2,000社が導入しています。一般社団法人日本加工食品卸協会の標準EDIフォーマットに対応しています。

プラネット

1985年、日用品化粧品業界のVANを提供する日本初のVAN運営会社として、株式会社プラネットが設立されました。日用品化粧品業界を中心としたシステムの標準化を進めており、2022年10月現在、資材サプライヤー、メーカー、 卸売業合わせて1,400 社以上が導入済みです。

流通BMS

流通Business Message Standards(流通BMS)は、消費財流通に際し、小売、卸、メーカー間でやりとりされるメッセージの形式を定めたものです。流通業者の標準EDIとして利用されていたJCA手順に代わり、流通BMS協議会によって2007年に策定されました。2021年12月時点で、16,000社以上が導入しています。

EDIの種類(導入方法別)

EDIを導入するにあたっては、オンプレミス型とクラウド型を選ぶ必要があります。それぞれの特徴を簡単に押さえておきましょう。

オンプレミス型

自社に設置したサーバーを使用してシステムを構築、運用・管理するため、柔軟にカスタマイズができることが、オンプレミス型の特徴です。他システムとも連携しやすく、セキュリティ管理が社内でできます。一方で、自社にサーバーを設置するため、初期費用が比較的高額で、導入にも時間がかかります。また、自社でインフラを管理するため、運用負担が増えるという課題もあります。

クラウド型

クラウド型は、自社にサーバーを設置せず、インターネットを介してクラウド上に構築したEDIを利用するため、自社でのシステム構築や運用管理は必要ありません。初期費用はかからず、機能拡張も簡単に行えます。インフラ管理やシステムのアップデートはベンダーが行うため、導入のハードルが低いのが特徴です。一方、オンプレミス型と比べるとカスタマイズが難しく、システムやセキュリティはベンダーに依存します。

EDI選びのポイント

それでは、EDI選びのポイントとは、どのようなものなのでしょうか?

自社ニーズへの対応

取引先企業の数、社内で使用しているシステムやアプリケーション、移行予定データの種類や量など、システムまわりの現状を調査し、自社のニーズを把握しましょう。また、移行予定のEDIは、業界や取引に対応したデータ交換の手順を用いているか確認が必要です。

セキュリティ対策

オンプレミス型、またはクラウド型に適したセキュリティ対策を講じる必要があります。オンプレミス型は自社でセキュリティ対策を万全にする必要がある一方、クラウド型ではセキュリティはベンダーに一任するため、ベンダー選びが重要なポイントになってきます。

データ連携

複数の企業と大量のデータのやりとりを高速で行うためには、データ連携が不可欠です。そのために、まずは自社のシステムを把握し、データ交換先企業とのシステム連携方法や実施スケジュールについて検討しましょう。
また、社内には複数のシステムやアプリケーションが存在します。データを一元管理するためには、社内システムの適切な把握、必要となる連携のレベルについての検討が必要です。せっかくEDIを移行したのに社内外のデータとうまく連携できず、手入力作業が発生して業務の効率化が図れない、ということのないようにしましょう。

Web-EDI

取引先企業がそれほど多くない場合は、Web-EDIでも対応可能です。ただし、先に説明したようにWeb-EDIは標準化されていないことや、人の手による操作が必要なことから、複数の取引先とやりとりする場合、効率的とは言えません。

オンプレミス vs. クラウド

前述のように、自社でシステムを構築、運営、管理するのか、または、全てクラウドに移行するのかなど、マンパワーや予算などを考慮したうえで、自社に最適なタイプを決めましょう。

アウトソーシング

移行作業および移行後の運営も含め、自社のシステム担当が行うのか、それとも、現行のEDI調査の段階からプロに任せるのかも、EDI選択時の大きなポイントになってきます。アウトソーシングにより、自社に最適なEDIを選ぶためのコンサルティングだけでなく、システム構築から運営、管理までをプロに委託することで、自社のシステム担当が本来の業務に集中できるというメリットがあります。

ZEDIへの対応

ZEDI (全銀EDIシステム)は、2018年12月よりサービスを開始したシステムです。企業間決済の振込時に、XML電文を使用してEDI情報を送信します。入力情報量や形式が限られていた従来の固定長電文と比べ、ZEDIではXML電文を用いることから、注文情報や請求書番号など、さまざまな情報を送信できます。ただ、ZEDIの利用に際しては、JX手順対応システム、XMLフォーマット、クライアント証明書の取得など、企業側での準備が必要です。

後悔しないEDI選びのために

自社の業界とその動向、企業規模、取引先の接続状況などにより、選ぶべきEDIの形式は異なります。しかし、自社だけで最適な答えを見つけるのは、専門的な知識がないと難しい場合があるでしょう。そのような場合、アセスメントやコンサルテーションの段階から、EDIのプロである専門業者に任せてみるのも一つの解決策です。自社に適したEDIへの移行で、さらなるシステムイノベーションを実現しましょう。

インテックのEDIアウトソーシングサービス(EINS/EDI-Hub Nex)は、設備も導入後の運用も全てアウトソースが可能です。
そのため運用の手間やコストを削減でき、業務の効率化がより一層図れます。さらにマルチプロトコルにも対応しているため、従来型EDIであってもすぐにご利用いただけます。ぜひ、ご興味ある方は、こちらからお問い合わせくださいませ。

公開日 2022年12月19日

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