標準EDIのひとつである業界VANとは?メリットや利用時の注意点などを解説
EDIとは電子データ交換を意味する言葉であり、企業同士の契約書や商取引書類などを電子回線でやりとりする仕組みのことを言います。このEDIは業界ごとに規格が標準化されており、そのなかでも業界VANは特定の業界に特化した規格です。業界VANに接続することにより、さまざまなメリットを享受できるため多くの企業で利用されています。
そこで、本記事では業界VANの概要やメリットとデメリット、利用時の注意点について解説します。
標準EDIのひとつである業界VANとは?メリットや利用時の注意点などを解説
業界VANとは
業界VANとは特定の業界で利用されるEDIのことです。EDIとは専用回線やネットワークを通した電子データ交換を指す言葉であり、やりとりするデータはメーカーや卸売業などの商取引の根幹を成す受発注や出荷、請求などに必要なデータです。
業界VANはいわば業界専用のEDIであり、ビジネスにおける各種商取引データのために使用されるシステムだと言えます。
業界VANが誕生した背景
業界VANが誕生した背景には、特定業界同士でのやりとりを円滑にするという目的がありました。
日本ではもともと百貨店、チェーンストアなど業界ごとに統一伝票が使用されており、これをベースとした通信手段が1980年代に作られました。 1982年には中小企業の間でのデータ交換が認められ、1985年には大規模なVANサービスが本格的に普及しますが、標準規格を使用したEDI(標準EDI)では、あらかじめ全ての取引先との調整やシステム開発をする必要がありました。しかし、業界VANは業界で共通する取引先コードや商品コードを使用したシステムを用意するだけで、同じVANを使った業者とのデータ交換がスムーズに行えるため現在では、多くの企業で利用されており主流となっています。
業界VANのメリット
業界VANを利用するメリットは次のとおりです。
取引先を拡大しやすい
業界VANの利点は、共通する商取引コードや運用ルールに対応したシステムを用意するだけで、同じVANを使った企業と商取引が開始できることです。
取引先ごとに調整をする必要がないため、取引先を拡大しやすくなっています。
システム開発や運用に必要な費用が少ない
共同で同じシステムを使用するという点から、開発と運用に必要な費用を企業間で分担することが可能です。複数の取引先との間にネットワークを構築するよりも、費用を抑えることができます。
ネットワークの信頼性が高い
業界VANにはセキュリティ性が高く、データ改ざんや破壊を防げるうえに、通信速度が速いので企業間での通信もスムーズに行えるものも存在しています。また、それらはデータの機密保護が徹底されているため、外部への情報流出の心配もありません。
データベースサービスを利用できる
業界VANの中には商品データベースと取引先データベースが標準化されているものがあり、自社のシステムに専用のマスターを整備できるようになっています。
取引先のシステムバージョンに関係なく使える
業界VANはひとつのシステムを用意するだけで、標準仕様の通信プロトコルやフォーマットを使う全ての事業者と接続できます。そのため、取引先のシステムのバージョンに関係なく、通信が可能です。
業界VANのデメリット
利用コストが必要
業界VANに限らず、何らかのシステムの利用を始める場合は費用がかかります。標準EDIと比較してコストを抑えられるとは言え、全くのノーコストというわけにはいきません。
ただし、取引先を拡大しやすかったりセキュリティ性が高かったりと数多くの利点があるため、比較的低コストで利用を始められる点は魅力でもあります。
業界VANの例
ここからは、さまざまな業界VANの種類について解説していきます。
*EDIについて、詳しくはこちらの記事もご参照ください。
FINET(ファイネット)
酒類・加工食品業界の約2,000社が会員企業として参加する、酒類・加工食品業界で最大規模のVANサービスです。企業間情報の標準化を促し、業界における業務効率化と情報の伝達速度向上を目的としています。
商品流通VANサービスと資材VANサービスに分かれており、各種データ交換に使用されています。
e-お菓子ネット
インターネットを利用したお菓子業界の卸・メーカー向けeコマースサービスです。メーカーの受注や入庫予定連絡などを全てインターネットのブラウザで行うことができます。
PLANET(プラネット)
株式会社プラネットが提供する業界VANであり、化粧品業界や日用品メーカーなどで使用されています。
業界の流通機構強化を目指して1985年からVANを提供している会社です。
MD-NeT(エムディーネット)
医療機器業界の業界VANです。医療機器メーカーと卸売業者をつなぐシステムであり、現在ではメーカー側のFAXでの受注入力業務の手間削減や、ディーラー側の在庫管理効率化へとつながっています。
メーカーが医療機関に商品を提供後、ディーラーが医療機関での商品の使用確認を行い、メーカーへ使用報告をするという仕組みが構築されています。
JD-NET(ジェイディーネット)
医薬品業界の業界VANです。製薬メーカーと医薬品卸売業者との間をつなげているシステムであり、災害に備えてバックアップセンターを設置しています。
業界VANを利用する際の注意点
業界VANを利用する際には、以下のような点に注意が必要です。
取引先も同じ業界VANを利用している必要がある
取引先も同じ業界VANを利用している必要があります。自社では利用を開始したにもかかわらず、取引先が利用していないことで運用ができなかったということのないようにしましょう。
実績の豊富なEDIサービスベンダーのシステムを利用する
業界での実績が豊富なEDIサービスベンダーのシステムを利用することで、万が一のトラブルを回避できます。
災害発生時にデータのバックアップをしてもらえたり、利用時のトラブルに対するサポートが受けられたりすると、不測の事態にも対応しやすいでしょう。
業界VANに接続するシステムを選ぶ際は実績を確認しよう
業務コストの削減や効率化を図れるEDIのなかでも、業界VANは特定の業界に特化したものです。利用する際は標準EDIの接続実績の豊富なEDIサービスベンダーが提供しているかどうか、自社の通信回線との互換性があるかなどをチェックするようにしましょう。
インテックのEDIプラットフォームサービスはEDIの導入から運用までをアウトソーシングできるため、各種導入コストや手間を削減することが可能です。
さまざまな業界VANとの接続実績も豊富なため、ぜひ検討してはいかがでしょうか。
*INTECが提供する「EDIプラットフォームサービス」の詳細はこちらのページをご覧ください
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