クラウド時代の情報連携の課題を解決する「iPaaS」とは
本格的なクラウドファーストの時代が到来しています。クラウドを活用することで、デジタルトランスフォーメーションを実現するための柔軟なシステム環境を構築できるからです。すでにシステムの一部をクラウド上に移行したり、クラウドサービスを導入している企業は増えています。
しかし、必ずしもすべてのシステムをクラウド上に移行できるとは限りません。クラウド化を前提にシステム刷新を検討しても、機密性の高いシステムや長年使っている基幹システムなどはそのままオンプレミスで運用するなど、クラウドとオンプレスミスの環境が混在してしまうことが実状ではないでしょうか。
その時に問題になるのは情報連携です。クラウド上のシステムとオンプレミスのシステムは勿論、クラウド同士をどうつなぎ、どうデータを活用するのか。この情報連携の問題を解決するために、注目されているのがIntegration Platform as a Service、略称iPaaSです。
ここではクラウドファースト時代の情報連携の具体的な課題と、課題解決のためにiPaaSに求められる機能を考えていきます。
課題1:システムをつなぐことで、運用が複雑になってしまった
一部のアプリケーションをクラウドに移行させる時に浮上してくるのが、システム同士をどう接続するのかという問題です。新しいクラウドサービスのアプリケーションにはAPIが用意され、接続することだけを考えれば、それほど難しくはありません。
しかし、古い基幹システムと新しいアプリケーションを最適に接続するためには、データを受け渡すためのプログラムを開発したり、基幹システムにアドオンを追加したりする必要が出てきます。また、それぞれを接続できても、システム全体をシームレスにデータ連携できるようになっていなければ、運用面で問題が発生します。
例えば、お得意様から受注した製品を製造して提供するまでには、販売管理、在庫管理、生産管理、購買管理といった社内システムのデータ連携が必要で、場合によっては部品や材料の調達先のシステムとのデータ連携も必要になります。これらを手動で連携していては効率が悪く、全体の流れをシームレスに把握することもできません。
解決1:iPaaSで包括的な情報連携を実現する
iPaaSではクラウドとオンプレミスのシステムを包括的に連携させる統合プラットフォーム機能が提供されます。用意されているアダプターを使って、プログラムレスでシステムをつなぐことができます。個別にシステムを接続するのではなく、iPaaSというプラットフォームに接続するので、データ連携もスムーズです。システムの追加や更改などの変化にも柔軟に対応できます。
課題2:データ転送に手間がかかり、データ自体が散在している
これまでオンプレミスにあったシステムをクラウド上に移行する際にはデータの移行も必要になります。ERPなど基幹系システムでは大容量のデータを移行させなければなりません。移行先が新しいERPの場合には、既存システムから移行対象となるデータを抽出し、データフォーマットを変換しなければならない場合もあります。
また、クラウド上のアプリケーションが複数ある場合、データ自体が散在しているという問題もクローズアップされてきます。それぞれのシステムが個別にデータベースを持っている場合には、その連携が必要になり、オンプレミスのシステムとの同期も考えなければなりません。
今注目されているRPA(Robotics Process Automation)を導入する際にも、データ連携の仕組みができていることが前提になります。複数のロボットからの情報を個別に連携させていては、業務プロセス全体での効率化を図ることができないため、導入効果は限定的なものになってしまいます。
解決2:iPaaSのデータ伝送機能やデータ連携機能を使う
iPaaSでは、これまでの磁気テープによるデータ伝送に代わる大容量のデータ伝送機能を提供しています。また、別個のシステム間でデータを変換して連動させるEDIやEAIの機能を実装しているケースがあります。こうしたデータ伝送機能やデータベース連携機能を活用しましょう。
課題3:クラウドに移行したものの、データ活用ツールと連動できない
クラウドに移行する目的の一つが、自由自在なデータの活用です。クラウド上では、統計解析やビジネスインテリジェンス、人工知能など、幅広いバリエーションのクラウドサービスが提供されています。これらのサービスを活用することで、業務プロセスを高度化し、ビジネスの変革を進めることが可能です。
しかし、実際にはクラウド上にシステムを移行させても、こうしたデータ活用ツールが使えないケースも出てきます。これまで述べてきたようなシステム連携、データ連携に加えて、システムの変化に対応する各種DBやファイル監視システムなどのイベント連携など、クラウド to クラウドの環境が整備されていないことが原因です。
最後に
これまで述べてきた機能を備えたiPaaSのサービスが、データ連携プラットフォームサービス(TEDIOS)です。 データ連携プラットフォームサービス(TEDIOS)は、EAI連携・クラウド接続機能を実現するiPaaSサービス(EAI連携)をはじめ、EDIサービス、大容量伝送サービスの3つの接続サービスがあり、さらにデータ変換、PCI DSS対応、運用監視、DR対応の4つの付帯サービスによってお客様のビジネスを強力にサポートします。各サービスそれぞれ月額料金で利用できるクラウドサービスです。クラウドファーストのメリットを引き出すためにも、是非、ご検討ください。
*INTECが提供する「データ連携プラットフォームサービス」の詳細はこちらのページをご覧ください
- ※TIS株式会社のEDI事業は2020年4月1日を期して株式会社インテックへ会社分割(吸収分割)により承継しました。
- ※掲載内容は公開当時の社名、製品名で記載されています。
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