ブラックボックス化したEDIシステムの移行要件を検討するため
アセスメント/コンサルティングサービスを利用
EDIシステムと業務運用のアウトソースで運用負担を軽減

JNC株式会社様

  • EDI
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総合化学メーカーであるJNC株式会社は、2024年1月のINSネット(ディジタル通信モード)サービス終了を機に、オンプレミスのEDIシステムからEDIアウトソースサービスへ移行しました。サービス導入にあたり、現行環境の情報を整理するため、アセスメント/コンサルティングサービスも併せて利用しています。導入の経緯と現在の運用状況について同社情報システム統括部 次席の西田和正氏と情報システム統括部 山本拓実氏にお話を伺いました。

課題

EDIシステムのブラックボックス化で移行時のトラブル対応に不安

──情報システム統括部の体制についてお聞かせください。

山本: 弊部はインフラ・開発・運用と3チームに分かれており、各チームにEDIに関わるメンバーがおります。ただ、以前のEDIシステムを全て把握している者がおらず、ブラックボックス化している状況でした。運用はマニュアル頼みで、イレギュラーなトラブルへの対応が難しくなっていました。

──システム更新にあたり、どのような課題がありましたか。

JNC株式会社
情報システム統括部 次席
西田 和正 氏

山本: INSネット(ディジタル通信モード)サービスが終了するため、その前にシステムを更新する必要がありました。また、社内システムのクラウド化を順次進めており、EDIシステムもオンプレミスからクラウドサービスへの移行を検討していました。

西田: 検討を始めたのは2021年頃からです。以前のシステムは2003年に導入し20年が経っており、システム移行によって何か大きな問題が起きるのでは、という懸念がありました。

山本: EDIは銀行や取引企業とのやりとりなので、安定した運用がもっとも重要です。いくつかのサービスを探しているなか、グループ会社がインテックのEDIアウトソーシングサービスを利用していたことから、アウトソースも候補に挙がりました。アウトソースすれば、専門家に見てもらえるので安心です。

──アセスメント/コンサルティングサービスを利用された理由を伺えますか。

山本: 現状を把握できていない中でシステム移行をすることはリスクがありますし、アウトソースするか、自社で管理するかの判断材料としても情報が必要でした。

西田: 既存システムがブラックボックスとなっていたため、影響範囲を明確にする必要がありました。その中でインテックからコンサルティングサービスを紹介いただきました。以前EDIシステムの更新を支援いただいたベンダー様のサービスを利用するか迷いましたが、最終的にはインテックに決めました。これまでお付き合いさせていただいた中での"信用"が一番の決め手です。

──環境調査はどのように進められたのでしょうか。

JNC株式会社
情報システム統括部
山本 拓実 氏

山本: インテックの担当者とやりとりしながら、求められた情報を提出する形です。直接、環境を見てもらうことはほとんどなく、いくつかの情報だけで現況を把握できることに驚きました。システム構成や流れ図といった調査結果の報告書に加えて、移行の際のアドバイスもいただきました。

西田: EDIシステム自体、所管の我々も十分に把握できていません。また基幹システムをはじめ複数のシステムと連動しており、そちらはインテックが把握していません。このため不安しかなかったですし、環境を見ていただいた方がいいと思っていました。しかし、資料ベースのやりとりや現環境と照らし合わせる中で、不安が信頼へと変わっていきました。

山本: 調査期間中には東京と富山にあるデータセンターを見学し、設備やオペレーションの信頼性を確認しました。そのうえで、調査が終わり次第、EDIのアウトソースをお任せすることを決めました。

導入システム

事前の環境調査で構成を整理し移行リスクを減らしてスピード導入

──システム導入のスケジュールをお聞かせください。

山本: 2023年の4月にアセスメント/コンサルティングサービスを依頼して、夏からEDIの環境構築に着手し、12月頭から運用を開始しています。タイトなスケジュールでしたが、INSネットサービス終了までに収めることができました。

──移行作業はスムーズに進みましたか。

山本: 最初のテストでは、当社とインテック間のAWS周りの接続がうまくいかずに苦労しましたが、その問題が解決した後は順調に進みました。事前のアセスメントで作成していただいた資料を読み込み、システム構成をある程度理解できるようになっていたこともスピードアップにつながったように思います。また、取引先のほとんどがインテックのサービスを利用していたこともあり、切り替えの時期の調整にもご協力いただきました。

西田: 私の経験上、システム移行ではカットオーバー後に不具合が少なからず発生するものでした。今回も覚悟していたのですが、完全にノートラブルで稼働しているので感心しています。

山本: アセスメント/コンサルティングサービスで環境調査から入っていただき、事前にリスクを精査できたのが今回のプロジェクトがスムーズに進んだポイントだと思います。

──運用管理ツールの使い勝手はいかがでしょうか。

山本: まだそれほど使い込んではいませんが、サービスマネージャは、以前のパッケージ製品の画面に比べて伝送のステータスや中身など細かく確認でき、使いやすく感じています。

西田: 以前は月に1度くらいの頻度で回線の切断などのトラブルがあったのですが、切り替えてからはエラーが起こらないので、使い込むまでに至っていないのが実情です。

──BCP対策として、ディザスタリカバリの2拠点運用を利用されているとお聞きしました。

西田: 従来もデータセンターを利用していましたが、今回は首都圏と北陸サイトの2拠点運用とし、冗長化したことでより強固になりました。当社の基幹システムもクラウド環境にあり、関東と関西の冗長構成としています。今回、EDIも冗長構成となり、首都圏で災害が発生した際、業務を継続できる可能が高まったと言えます。とはいえ、基幹システム側はもう一方の環境に即座に切り替えることはできず、"即座に"の部分は今後の課題になります。


効果と展望

アウトソースで社内の負担が軽減 トラブル対応のスピードもアップ

──アウトソースによるメリットは感じられていますか。

山本: 今までは、エラーが起こるたびにマニュアルで該当する問題を探して対応していました。今は伝送エラーなどの通信上の問題はインテック側で対処していただけるので、社内の負担が軽減されました。データの間違いなどはこちらで修正する必要はありますが、エラーの通知とともに原因も教えてくれるので、対応のスピードが上がっていると感じています。対応の早さは信用問題に関わるので、これを短縮できたのは大きなメリットです。

西田: ブラックボックスは完全に解消し、この先もブラックボックス化することはないだろうと思っています。また、変化に対応できる点です。

──コスト面はいかがでしょうか。

西田: クラウドなのでオンプレミスに比べるとランニングコストは若干かかりますが、導入費用はオンプレシステム再構築と比較すると約半分となりましたので、トータルでは変わりません。従来はディザスタリカバリ構成ではなかったところが、今回はそうなったことを考えるとコストメリットはあると思います。

──今後の計画についてお聞かせください。

山本: 関連システムもアウトソースを活用して、オペレーションをもっとシンプルにできないかと考えています。現在は複数のベンダー様に対応いただいておりますが、窓口を一本化することができれば、障害や不具合時の対応もよりスムーズにできるのではないかと考えます。とはいえ、ベンダー様も得手不得手があると思いますので、なかなか難しいとは思っています。

西田: 例えば、取引先とメディアを郵送し合う運用が残っています。このように残っている非効率な運用を改善したいと思います。また従来は利用者から届く要望に対し、時間をかけても応えることができない状態でした。これからまずは利用者の声を聞いて回ります。


Company Data JNC株式会社

1906年創業。水力発電事業およびその電力を活用した化学事業へ進出。現在は、液晶材料、有機EL、樹脂、繊維、肥料などを中心に化学品の製造販売事業を展開。また、今後の社会課題解決に向け、天然物由来の製品およびカーボンニュートラルやPFAS対応で注目されているシリコン製品の展開にも注力。環境・社会と調和したものづくり、製品の供給を通じ、持続可能な社会の実現を目指している。
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公開日 2024年07月02日

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