EDIは卸の大動脈。 アウトソースして運用とリプレイス対応から解放されました。
株式会社あらた様
ハードウェア障害への対応、モデム生産中止への準備、Web-EDIへの手動対応……。EDIは卸商社にとって大動脈となるシステムだが、情報システム部員には極めて運用負荷の大きな業務だった。そこで日用雑貨卸売大手である株式会社あらたのとった解決策が、株式会社インテックの提供するクラウド型EDIサービス「EINS/EDI-Hub Nex(以下EDI-Hub Nex)」の採用だった。その経緯や課題を同社 システム本部 統合システム部 マネージャー 杉本雅典氏(写真右)と同リーダー 加藤裕之氏(写真左)にうかがった。
POINT
- 次世代型卸商社の構築した先進のEDIシステム
- EDIアウトソースの条件とは
- 卸商社における情報システム部門のあるべき姿
「意識することなしにEDIが機能しています。 アウトソースして、情報システム部員としての本業に打ち込めるようになりました。」
激化する業界内の競争勝ち残るために同業者が団結
──貴社についてご紹介ください。
日用雑貨の卸売り商社です。扱っている商品は幅広く、化粧品、トイレタリー、紙、家庭用品、ペット用品など、その数は14.4万点に及びます。また、プライベートブランド「addgood」の開発にも取り組んでいます。得意先は、大手GMS(総合スーパー)、全国チェーンのドラッグストア、小さいものでは商店街の化粧品屋や雑貨屋まで、全国のお客さまに日用雑貨を卸しています。その商圏も広く、北は北海道から南は沖縄まで、全国にわたっています。全国ネットでお客さまの必要とする商品を提供する「地域密着型全国ネット」を推進しています。
──日用雑貨卸売りの業界について教えてください。
極めて競争の激しい業界です。各社が生き残りをかけて必死の経営戦略を展開しています。
弊社も2002年に、ダイカ株式会社、伊藤伊株式会社、株式会社サンビックの3社が核となって設立された会社です。その後も2002年9月に徳倉株式会社、2006年10月には株式会社シスコも株式会社あらたとして合併しております。
現在では、人口の減少が進む国内に対し、グローバル化も進めています。2012年2月に子会社として、中国上海に子会社凱饒泰(上海)貿易有限公司を設立し、さらに、2013年10月、タイバンコクにARATA(THAILAND)CO.,LTD.を設立しました。
情報システム部門は経営に直結システム統合の一環でEDIを再検討
──貴社におけるEDIの位置付けをお聞かせください。
弊社はITの可能性には早くから着目し、積極的にシステム化を進めてきました。情報システム部門は、経営に直結する部門であると考えています。効率化や省力化におけるコストダウンはもちろん、経営判断を支援する情報の提供、お客さまへのサービス向上による競争力強化も含めて、ITは弊社において極めて重要なポジションにあります。
とりわけEDIは卸商社にとって大動脈に当たります。受発注の自動化を目的に専用サーバを設けて、小売のお客さまからの要望に応えてきました。
──そのEDIを刷新していますが、背景を教えてください。
まず、弊社のシステム統合があります。先に説明したように、弊社は合併してできた会社であり、その後も合併を重ね、基幹システムの統合を順次進めてきました。その一環で2009年からEDIの再検討に着手しています。
次に、EDI専用サーバのリプレイスが控えていました。現状の延長線でシステムを更新することも考えられましたが、当時注目されつつあったクラウド型のサービスにも注目し、いくつかのベンダーにEDIの提案を依頼しました。
課題はモデムの運用管理と手動によるWeb-EDIからの解放
──旧システムにはどのような課題がありましたか?
運用の負荷と将来のリプレイスヘの対応が課題として検討されました。
- 1. 運用の負荷
- 旧システムは小売店とモデムによる接続が多く、弊社でも100台以上のモデムを利用し、12台のサーバに接続していました。このモデムの運用管理が大きな負担となっていました。台数が多いと、不具合や故障も多くなります。不具合があれば原因を切り分け調整しなければなりません。故障があれば修理あるいは交換して、再設定しなければなりません。これらの対応担当者が追われ、企画業務などの本来の業務になかなか取り組めない状況でした。
モデムはすでに生産するメーカーが限られ、過去の遺産になりつつあります。その生産が終了する前に買いだめしなければなりません。モデムを無くそうにも、お客さまが使っているものなので、こちらの意思で変えられるものではありません。 - 2. Web-EDIへの対応
- Web-EDI への対応も大きな負荷となっていました。低コストで導入できるメリットはあるのですが、データの送受信を手動に頼る部分が多いため、担当者の作業時間増加になります。手作業があると、どうしてもミスが発生し、このミス撲滅も求められていました。
- 3. リプレイスへの対応
- 今回のシステム刷新のきっかけの1つがサーバのリプレイスでした。ハードウェアを使用している以上、定期的な買い換えは避けることはできません。ソフトウェアもバージョンアップがあり、保守契約期限切れへの対応に迫られます。その都度、新システム検討に時間を割かれるのは、情報システム部門にとって大きな負担となります。
耐用年数にとらわれることのないシステム構築ができればと考えていました。
柔軟性と信頼性でEDI-Hub Nexを採用
極めてスムーズな移行作業
──インテックのEDI-Hub Nexを選んだ理由はどこにありますか?
サービス選定に当たっては国内の主だったベンダーをリサーチし、提案をいただきました。すでに多くのベンダーがサービスとしてEDIを提供していました。その中からインテックのEDI-Hub Nexを選んだのは柔軟性と信頼性を評価したことにあります。
- 1. 柔軟性
- ベンダーにも得手不得手があって、すべてこちらの要求どおりにサービスを提供してくれるわけではありません。Web-EDIには対応できないベンダーもありました。しかし、インテックはこちらの要求に対して「NO」とは言いませんでした。こちらのわがままをほとんど受け入れていただき、スムーズに構築できると期待しました。
- 2. 信頼性
- インテックといえば業界VANサービス「プラネット」の実績があります。日用雑貨のみならず、プラネットは国内VANサービスを代表するシステムです。これを一貫してインテックが支えており、弊社でも利用しています。EDIはミッションクリティカルなシステムで、これが止まったら商売が成り立ちません。インテックであれば安心してまかせることができると判断しました。
2010年12月にEDI-Hub Nexの採用を決定しています。
販売先数5,000社以上、3,000IDと接続
──クラウドに対して抵抗はありませんでしたか?
まったくありません。検討していた2010年当時は、クラウド元年と呼ばれていた記憶があります。ちょうどクラウドが台頭し始めたころで、様子見の企業も多かったかもしれません。しかし弊社はEDIのアウトソースが目的でしたので、たまたまそれがクラウドEDIであることには抵抗がありませんでした。
──システムの概要をお聞かせください。
これまで取引先ごとに自社のシステムで対応していたデータ交換を、現在は全てインテックのデータセンターを経由して行っています。登録されている接続先ID数は3,000ほどに及びます。顧客数で5,000社強になると思います。流通BMS、レガシープロトコル(JCA、全銀、全銀TCP/IP)、Web-EDI、お取引先様指定の固有アプリケーションに対応しています。スムーズに切り替えることができ、2011年5月から稼働しています。
──同時期にFNX e-帳票FAXサービスも導入しています。
ネクスウェイのe-帳票FAXサービスを導入し、メーカーへの販促費等の請求処理に利用しています。それまで各営業拠点から手動でFAX送信していましたが、e-帳票FAXサービスによりスピーディに処理できるようになりました。
大幅なコスト削減と人的リソースの最適化を実現
──EDIシステムの刷新で得られた効果を教えてください。
目に見える効果としてはコスト削減があります。サーバは12台から4台に削減し、100台前後あったモデムの運用管理は一切なくなりました。これまで公衆回線やISDN回線も50回線ほどEDIに利用していましたが、その費用も不要になりました。
そして、最も大きな効果は人的リソースの最適化です。サーバやモデムの運用管理やWeb-EDIに費やしていた時間を、コア業務である情報システムの企画に当てることができるようになりました。モデムの在庫管理に手間取られることもなくなりました。
担当者はそれまで業務時間の半分をEDIに費やしておりましたが、その時間がまったく不要になりました。これはとても大きな効果です。
流通BMS対応のための電子証明書の更新が3年に1回あり、それにも時間が取られていました。流通BMSは増加する傾向にあり、とても自分たちでは対応できなかったと思います。
安定稼働を高く評価
クラウドが技術の進化と変化を吸収
──インテックとネクスウェイの評価や要望があればお聞かせください。
システムが安定していることを高く評価しています。稼働初期のころはいくつかトラブルもありましたが、すぐに落ち着きました。ここ半年は問合せすることがまったくありません。何もないことが当たり前で、存在を忘れるほど安心しています。自分たちで運用していたころよりも正確でミスがなくなりました。Web-EDIは手動の部分が多くミスが発生しがちなのですが、まったく無くなっています。要求の多いユーザで大変だったろうと思われますが、さすがインテックです。流通卸における実績とノウハウが他社とは異なる気がします。
──今後の展開を教えてください。
弊社はグローバル化を進めており、情報システム部門としてこのグローバル化をいかに支援するかが会社から与えられたミッションとなっています。
EDIに関してはアウトソースの選択が正解であったと確信しています。2014年4月から」Windows XPのサポートが打ち切られ、2015年7月にはWindows Server 2003のサポートも終了します。これら個々に対応していくことは大変なことです。その点、システムをアウトソースすることで、ハードウェアやソフトウェアの更新が吸収されます。これが所有せず、サービスを利用することの大きなメリットです。これからもIT技術にもビジネス環境にも大きな変化が出てくると予想されます。それらをインテックのに吸収していただいて、我々は本業に打ち込みたいと思います。これからもよろしくお願いします。
Client Profile 株式会社あらた様
会社名 | 株式会社あらた |
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設立 | 2002年4月1日 |
資本金 | 50億円 |
連結従業員数 | 2,924名(単体 2,102名)(2014年3月期) |
連結売上高 | 6,519億5,400万円(2014年3月期) |
本社所在地 | 東京都江東区東陽 |
- ※掲載内容は、2014年7月現在のものです。
公開日 2020年04月01日
導入した商品・サービス
- EDIアウトソーシングサービス
- 約40年にわたるEDIシステムの構築・運用ノウハウを集結し、お客様の企業内・企業間データ交換業務の推進を強力にサポートするクラウド型EDIソリューション
- データセンターサービス
- 立地地域の電力会社との協業により電力供給の信頼性を高め、ティア4相当のハイスペックなファシリティを備えたデータセンターです。