標準化・統合化された基幹システムをグループ展開
業務レベルの向上と事業連携・協業を加速
- 日本カーバイド工業株式会社様
- 商品・サービス:生産管理パッケージ導入サービス(mcframe)
KEY POINTS
●生産管理、販売管理、原価管理を製造業向けSCMパッケージに
●SCMパッケージと連動可能な会計パッケージを導入
●パッケージ標準の導入に伴う業務改革を実施
日本カーバイド工業株式会社(NCI)では自社開発の基幹システムを利用してきたが、近年の事業環境の変化への迅速な対応、システムの維持管理に対応できる人材の育成にリスクを抱えていた。そこで2019年1月に基幹システム刷新プロジェクトを発足。製造業向けSCM総合パッケージと会計パッケージを導入し、業務プロセス改善に取り組んでいる。基幹システム刷新の背景、その経緯と効果について執行役員経理部長・角田尚久氏、経営企画部システムグループリーダー・舘裕司氏、同グループ主幹・小野渉氏、同グループ・味見康弘氏にお話をうかがった。
30年以上前から稼働する基幹システムが業務効率化、グループ事業連携の妨げに
─貴社についてご紹介ください。
日本カーバイド工業株式会社
執行役員 経理部長
角田尚久 氏 角田:NCIは1935年に創業した化学メーカーです。「カーバイド」とは、当時の化学工業の最先端であったアセチレン誘導工業の原料となる物質で、その生成に必要な良質な石灰岩の調達が容易で、必要な電力を豊富な水資源から得られる富山県魚津市で創業しました。
創業から80年余りを経た現在ではコア技術である樹脂重合技術、フィルム・シート技術、焼成技術を軸に機能化学品、機能樹脂、電子素材、フィルム、ステッカー、再帰反射シートなどの製造・販売を行うほか、建材関連事業、エンジニアリング事業を行っています。6つの国内拠点に加え、主要子会社が国内に5社、海外に12社あり、NCIグループとして事業を展開しています。最近ではコロナ禍で注目を集めている「非接触操作パネル」に、当社の空中ディスプレイ用リフレクターが使用されています。
─基幹システム刷新の背景を教えてください。角田:当社の基幹システムは30年以上前から稼働しており、事業環境の変化に対するスピーディーな対応が難しくなっていました。経営改革を進め、グループ全体の企業価値を高めるには、基幹システムの刷新が急務であることは明らかでした。今回のシステム刷新では、標準化・統合化されたシステムのグループ展開により、業務レベルの向上と事業連携・協業を加速させることを狙いとしました。
日本カーバイド工業株式会社
経営企画部 システムグループ
グループリーダー
舘裕司 氏 舘:旧基幹システムは自社で開発・運用していましたが、業務改革をするにも、新たな法令に対応するにも、外部の様々なサービスを利用するにも、そのたびに新たなプログラムを作成する必要があり、システム部門には大きな負担がかかっていました。また、適切な内部統制を行うのに十分な機能を有していないという問題もありました。さらに、古いシステムの維持や保守のスキルを持った要員の新たな確保が難しい状況で、そのまま稼働を続けることには大きなリスクがありました。
課題1:業務とシステムの不整合
業務を変更するとシステムと整合性が取れなくなる。どうしても変更したい場合にはシステム側でプログラムの変更や新規作成が必要。
課題2:内部統制強化に対応困難
基幹システムが作られてから約30年が経過し、内部統制の基準が厳しくなっているがシステムで対応ができない。
課題3:システムの維持・保守要員不足
古いシステムアーキテクチャやプログラミング言語に精通した社内の要員が少なくなり、それに代わる技術者の補充ができない。
─こうした課題をどのように解決しようと考えたのですか。角田:これ以上自社開発のシステムを開発・運用し続けることは難しいと考えました。そこで、製造業向けのSCMパッケージ導入により販売から生産管理、原価管理までを一元管理すること、これと連動可能な会計パッケージを導入すること、基幹システムの入れ替えと合わせて業務の大幅な見直しを行うことを決めました。
パッケージの標準利用による業務改革をトップダウンにより推進
─パッケージに求めた条件とはどのようなものでしたか。
角田:化学メーカーでの実績があることです。今回導入したmcframe7は日本製のパッケージであったこと、インテックが他の化学メーカーにも導入していたことが採用の理由でした。また、国内外の主要子会社にも同様のシステムを導入したいと考えていましたのでマルチカンパニー対応だったことも条件に合致しました。
─SIerとしてインテックを選んだ理由を教えてください。
角田:今回のプロジェクトでは4社から提案を受け、その中からインテックを選びました。日本アイ・ビー・エム株式会社(日本アイ・ビー・エム)との共同提案で、日本アイ・ビー・エムは業務改革支援、インテックはシステム標準導入を進めるというものでした。インテックとは旧基幹システム以来長い付き合いがあり、われわれのニーズをどこよりもよく理解していたことが採用の理由です。インテック本社が当社の工場(富山県魚津市、滑川市)と近い富山市にあることもコミュニケーションの面でメリットがあると感じました。
─システム構築で気をつけた点、こだわったポイントは何ですか。
角田:「パッケージに業務を合わせていく」というコンセプトをトップダウンで貫いたことです。業務移行は弊社が中心となり、システム移行についてはインテックが中心となって進めました。業務移行に関しては、パッケージを使った場合の標準的な手順を社内のユーザーに説明して、それに業務をどう合わせていくかは現場のユーザー自身に考えてもらうようにしました。会計についても今回導入したSuperStreamに業務を合わせるという原則を徹底しました。
日本カーバイド工業株式会社
経営企画部 システムグループ
主幹
小野渉 氏 小野:当社が製造する製品は多岐にわたっており、それぞれの製品に適した品質管理の粒度があります。当初はパッケージに合わせるという原則にこだわりましたが、検討の結果、それぞれの製品の特徴に応じたカスタマイズについては実施することにしました。
部署ごとに異なっていた業務を標準化
今後は関連会社にも展開予定
─基幹システムの刷新は御社のビジネスにどのような効果がありましたか。
角田:一品一品について製造から販売まで通してデータを見られるようになったことが大きいと感じています。内部統制についても、これまでできていなかったことが可能になりました。従来は部署ごとに異なっていた業務のやり方が統一された点も評価しています。
日本カーバイド工業株式会社
経営企画部 システムグループ
味見康弘 氏 味見:生産管理においては、製造レシピや在庫の場所、製造品のロット単位のトレース機能など、従来システムよりも詳細に情報を捉えられるようになりました。また、見たいデータを標準的に取り出せるようになったことで、今後さらに基幹システム内のデータ活用が進んでいくと考えています。

成果1:業務の効率化・標準化画面インターフェースがわかりやすく、誰が見ても直感的に操作方法が理解できる。同じ業務であればどの部署もやり方が共通に。
成果2:データ管理の粒度がより細かくこれまで月次単位で行われていた在庫や実績の計上がリアルタイムに。在庫管理も製品グループ単位から品目ごとに。
成果3:システム部門の負荷軽減新基幹システムは24時間365日稼働だが、夜間のバッチ処理や休日対応が不要になり、システム部門の負担が軽減された。
─今後の展開はどのように考えていますか。舘:新基幹システムは2020年4月に稼働し、現在、関係会社1社に横展開していますが、2022年はもう1社への導入を計画しています。最終的には、国内3社、海外8社への展開を目指しています。
COMPANY DATA
日本カーバイド工業株式会社
本社:東京都港区港南2-16-2
URL:https://www.carbide.co.jp/
総合化学メーカー。1935年に富山で創業、コア技術である樹脂重合技術、フィルム・シート技術、焼成技術を軸に、現在は電子・機能製品事業、フィルム・シート事業、建材関連事業、エンジニアリング事業をグローバルに展開している。
導入事例
※本事例の情報は、2021年8月現在のものです。
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