~システム導入を5ヶ月短縮、5億円のコスト削減~
アサヒグループの基幹システム統合を成功に導いたmcframeとフィッティングアプローチ
アサヒグループホールディングス株式会社様
企業が持株会社に移行するにあたり、各事業会社が有するITリソースをいかに統合、集約するかは、その後のビジネスの競争力に大きな影響を及ぼします。まずは組織を変更することで、人、モノ、金の経営資源を集約し、さらにBPRによる生産性の向上、業務プロセス改革による収益性の向上、基幹システムをはじめとするアプリケーションの共通化によるITコストの削減を目指すことが必要です。
今回は、ドライビールの先駆けである「アサヒスーパードライ」のアサヒビール株式会社やフリーズドライ食品の天野実業株式会社、テレビドラマ効果で売上が好調なニッカウヰスキー株式会社などを傘下におさめるアサヒグループホールディングス株式会社における基幹システム統合の事例を紹介します。mcframeを採用した理由や導入効果、インテックが果たした役割などを解説します。
課題:持株会社への移行を機にITリソースの集約が急務
BPRによる生産性向上、業務プロセスの標準化による収益性向上、アプリケーションの共通化によるITコスト削減を目指す
1889年に創業した大阪麦酒会社を会社の起源とするアサヒグループホールディングス株式会社は、2011年7月にアサヒグループ各社が持株会社に移行することで誕生しました。現在、酒類事業、飲料事業、食品事業、国際事業の各事業会社を傘下に、国内外の製造拠点で、酒類、飲料、食品を製造し、2013年度の売上は1兆7000億円を超えています。
持株会社に移行する前は、事業会社ごとに情報システム部門があり、独自にシステム構築や人材育成を行っていましたが、移行を機にITリソースのすべてを持株会社に集約。アサヒグループホールディングスがIT戦略を立案し、アサヒプロマネジメントがIT戦略を推進、アサヒビジネスソリューションズがシステムの開発・運用を行う体制を確立します。
アサヒグループホールディングス IT部門 ゼネラルマネジャーの知久龍人氏は、「人、モノ、金の経営資源を1つに集約し、グループ全体のIT戦略立案からコスト管理、品質管理、人材育成までを集中管理することで、アサヒグループ各社に最適なITサービスを提供することが可能になりました」と語ります。
2010年度から2012年度の第4次中期経営計画でグループ共通のIT基盤を構築し、2013年度から2015年度の第5次中期経営計画で、基幹システムを統合・集約化することを決定。BPRの実施による生産性の向上、業務プロセスのグループ標準化と最適化による収益性の向上、アプリケーションの共通化によるITコストの削減を目指しました。
選定のポイント:標準機能が非常に充実しているmcframeを採用
豊富な連携インタフェースや導入実績、永久サポートなどを高く評価
基幹システムの統合・集約化にあたり、ベンダー6社の提案を検討した結果、mcframeの採用を決定。mcframeの販売物流、生産管理、原価管理をアサヒフードアンドヘルスケア、和光堂、天野実業に導入し、mcframeの販売物流をニッカウヰスキーとエルビーに導入することを決定しました。
mcframeを採用した理由は、標準機能が非常に充実していること、BIやEDI、会計システムなどとの豊富な連携インタフェースを搭載していること、食品関連のプロセス系に数多くの導入実績があること、実際原価計算機能が搭載されており、予実管理や、標準原価計算のシミュレーションが可能なことなどです。
さらに保守性も重視し、アサヒグループホールディングス IT部門 マネジャーの齋藤宏樹氏は、「mcframeの永久サポートは、他社のERPでは必要になるバージョンアップに関する追加コストが不要なので非常に魅力的でした。またソースコードが公開されているので、保守性の面でも安心感がありました」と語ります。
mcframeの導入にあたり、システム・インテグレーション(SI)担当に選ばれたのがインテックでした。インテックが選ばれた理由を齋藤氏は、「すでに72社にmcframeを導入した実績を高く評価しました。また、mcframeの良い面、悪い面をきちんと話してくれたので信頼できると感じました」とも語ります。
成功の要因:消費財製造業向けテンプレートでシステムを標準化し、フィッティングアプローチで業務プロセスを標準化
15カ月かかるシステム導入を5カ月短縮
アサヒグループホールディングスでは、2012年秋にエルビー、2014年3月にニッカウヰスキーでmcframeの販売物流を稼働。2014年4月に天野実業でmcframeの販売物流、生産管理、原価管理を稼働しています。販売物流は取引先とのシステム連携の一部で固有機能を開発していますが、生産管理、原価管理は、ほぼmcframeの標準機能で運用しています。
今回、現状調査から要件定義、設計・開発、テスト、移行という従来手法では1社あたり15カ月程度かかることが見込まれていたシステム導入期間を、5カ月程度短縮しています。この期間短縮を可能にしたのが、インテックが独自に開発したmcframe導入用の「消費財製造業向けテンプレート」および「フィッティングアプローチ」でした。消費財製造業向けテンプレートで、mcframeの標準機能を補完するとともに、グループ共通で利用するデータ一括入力や入力チェックなどの機能を「アサヒグループ共通業務機能テンプレート」としてまとめることでシステムの標準化を実現。標準機能と2つのテンプレートにより、グループ各社へのmcframeの横展開の期間を短縮しています。
またフィッティングアプローチにより、導入プロセスの標準化を実現。主要製品のマスタを登録し、mcframeの標準機能を現場の担当者に使ってもらうことで、業務プロセスとmcframeのギャップを把握。ギャップの部分はシステムをカスタマイズするのではなく、業務を見直すことで、業務プロセスの標準化と導入期間短縮を両立しています。
総括:業務プロセスを見直し、アプリケーションをグループ内で標準化することにより5年間で5億円のコスト削減を見込む
グループ経営管理の促進を目的にmcframeに蓄積されるデータを有効活用し、原価の低減を目指す
mcframeの導入効果についてアサヒビジネスソリューションズ ソリューション本部 本部長付の西勝肇氏は、次のように語ります。「『mcframeの導入と業務改善による標準機能の共有化』、『フィッティングアプローチで標準導入を推進することによる短期導入』、『システム運用保守工数を50%以上削減できる』など、さまざまな効果が期待できます」
またアサヒプロマネジメント 業務システム部 副課長 基幹グループの堀江一樹氏は、「天野実業では、部門最適で生産計画や販売計画を立案していたので、在庫過多や欠損が課題になっていました。mcframeの導入により、業務プロセスを改善した結果、mcframeの導入から1年弱で約20%の在庫削減を実現しました」と語ります。
さらに知久氏は、「共通基盤の実現で、グループ企業の状況が可視化されたのが効果の1つです。これにより、収益性の向上やグループのシナジー効果も期待できます。年間1億円、5年間で5億円のコスト削減を見込んでいましたが、2014年時点でほぼ実現できており、削減したコストは新たな分野に再投資しています」と語ります。
今後、アサヒグループホールディングスでは、mcframeの販売物流、生産管理、原価管理を、2015年1月に和光堂、2015年中にアサヒフードアンドヘルスケアに導入する計画です。またグループ経営管理の促進を目的に、mcframeに蓄積されるデータを有効活用し、原価低減のPDCAサイクルを確立するための仕組み作りも検討しています。
齋藤氏は、「今後は、スマートフォンやタブレット端末で、いつでも、どこでもデータを活用できる仕組みの実現が重要になります。グローバルにビジネスを拡大するにはITの活用が不可欠であり、インテックの支援には大いに期待しています」と語っていました。
公開日 2015年04月13日
導入した商品・サービス
- 生産管理パッケージ導入サービス(mcframe)
- 導入実績No.1の経験に基づく基幹ソリューションを提供します。