運用高度化を目指し基幹システムをパブリッククラウドに移行DXに向け全社的な統合データ基盤を構築

KEY POINT

  • 生産管理、販売管理、原価管理を行う製薬業向けSCMパッケージを利用
  • SCMパッケージをバージョンアップすることなくシステム基盤をクラウド移行
  • 全社的な統合データ基盤を構築、データ分析と可視化を可能に

生化学工業株式会社(以下、生化学工業)では2007年から基幹システムとして製薬業向けのSCMパッケージシステムと会計パッケージシステムを利用してきた。会計パッケージがサポート切れを迎えるのを機に基幹システムの再構築プロジェクトを発足、システム基盤をパブリッククラウドに移行するとともに、データ共有のための基盤を構築して全社的なデータ活用を可能とした。その背景と経緯、効果について取締役 経営企画部長・秋田孝之氏、同部情報システムグループ 次長・吉田浩二氏、同主任・小宮山普子氏にお話をうかがった(文中敬称略)。

古いインフラ上に構築された基幹システムがビジネスの効率化・経営判断の迅速化の妨げに

生化学工業株式会社
取締役
経営企画部長
秋田孝之 氏

──貴社についてご紹介ください。

秋田: 生化学工業は「糖質科学」のパイオニアとして1947年の創立以来独創的で有用な医薬品・医療機器を作り続けてきた製薬会社です。主力製品は運動器疾患や眼科疾患領域に用いられるヒアルロン酸を主成分とした医薬品です。研究開発を重視し、各製品領域で強みを持つ企業と販売提携するビジネスモデルを展開しています。

──基幹システム再構築に取り組んだ背景を教えてください。

秋田: 製薬会社を取り巻く環境は近年大きく変化しています。薬価の改定が2年ごとから毎年実施に変更され、新薬開発の技術革新やM&Aも活発な中、基幹システムで扱うデータを迅速にビジュアル化してレポートを作成し、経営判断をスピードアップすることが強く求められていました。

生化学工業株式会社
経営企画部
情報システムグループ 次長
吉田浩二 氏

吉田: 弊社では2007年から生産管理、販売管理、原価管理にSCMパッケージである「mcframe」とこれに連動可能な会計パッケージ「SuperStream」を利用してきました。2020年12月にSuperStreamのサポート切れを迎えることを契機として、2018年10月から基幹システムの見直しとシステム基盤を再構築するプロジェクトを開始しました。

課題1将来的なパッケージ利用に不安

システム基盤が古いままでは将来、サポートが受けられなくなる。

課題2全社的データ共有ができていない

部門ごとにデータを管理していたため業務データが社内に散在しており、全社的なデータ集計や分析に時間がかかる。

──この課題をどのように解決しようと考えたのですか。

吉田: 会計パッケージの新バージョン導入に加え、基幹システムの基盤をパブリッククラウド環境(Oracle Cloud Infrastructure、以下OCI)に移行することとしました。さらに、経費生産パッケージの導入と、全社で利用可能なデータ連携基盤の構築と分析ツールの導入を決めました。

製薬業界の業務に精通したインテックのソリューションを採用

──基幹システムの再構築にあたって重視した条件とはどのようなものだったのでしょうか。

吉田: われわれの規模の会社では限られた要員で効率的にシステム構築・運用を行うことが絶対条件です。パッケージベースの基幹システムを今後も継続的、安定的に利用できるようなシステム基盤を構築することを重視しました。

──SIerとしてインテックを選んだ理由を教えてください。

吉田: 製薬業界での実績があることが理由です。われわれが基幹システムとして利用しているmcframeでは、医薬業界向け付加機能の開発は実質的にインテックが行ったと聞いています。

秋田: 旧基幹システムもインテックに発注していましたので、われわれのシステム環境や体制についてよく知っていることもシステムを構築する上でメリットがあると考えました。かゆいところに手が届く対応をしてくれる点や、われわれの要望についてどうすれば実現できるかを一緒に考えてくれる点を高く評価しています。

──システム構築で特にこだわったポイントを教えてください。

吉田: OCIで新しいデータベースを使用し、ミドルウェアも新たなバージョンにする一方、基幹システムの核となるmcframeについては今回バージョンアップはせず、従来のバージョンを利用する決断をしました。
導入時にカスタマイズしたこともあり、必要な機能は揃っているためバージョンアップの必要がないと判断したためですが、開発元のビジネスエンジニアリングが現バージョンのサポートを継続してくれたことも大きな理由でした。システム基盤が変わっても、アプリケーションのユーザーインターフェースに変更がなかったのは、
現場の利用者にとっても大きなメリットとなりました。
会計パッケージについては、業務のワークフローを見直し、帳票の業務での利用状況なども精査してアドオンゼロを実現しました。

生化学工業株式会社
経営企画部
情報システムグループ 主任
小宮山普子 氏

小宮山: データ連携基盤の構築が最も大変でした。これまで全社のデータ連携基盤がなかったのでアプリサーバーのデータをデータウェアハウス(DWH)に蓄積するところから始めました。さらに、ユーザーが自らデータを分析・可視化するためのセルフサービス型のBIツールを導入することで、IT部門に頼らず現場主導でデータの可視化を可能にする仕組みを実現しました。

コスト削減・パフォーマンス向上を実現 バックアップ運用も効率化

──基幹システム再構築はどのような効果がありましたか。

吉田: これまでデータ連携やデータベース運用にかかっていたコストが削減できましたし、ワークフローの見直しや自動化による業務の効率アップも実現できました。BIツールの導入によるデータのビジュアル化も効果を発揮しています。経営陣向けには経営ダッシュボード機能の提供、工場では製品の歩留りチェックや不良品データの可視化などに利用されています。

小宮山: 従来、経費精算はExcelで集計し、紙ベースで経理にデータを渡していました。経理では再度システムに入力する必要があったのですが、経費精算パッケージにより大幅に省力化されました。

成果1データベース関連のコストを削減

データベース関連のランニングコストを大幅に削減。

成果2基幹システムのレスポンス向上

システム基盤の移行により、基幹システムのレスポンスが向上。

成果3バックアップ運用の手間と維持管理コストを削減

バックアップの運用をテープに記録して倉庫に保管する方式から、パブリッククラウドのリージョン間バックアップに変更。バックアップを取る手間、テープや倉庫にかかるコストを削減。

──今後の展開についてお聞かせください。

吉田: 業務系、品質系システムについても今後、パブリッククラウドに移行することを計画しています。 mcframeの稼働時に一部不具合も発生したのですが、それは自社用にカスタマイズした部分で、それ以外は当初から安定していました。さらに5~6年は今のまま使い続けたいと考えています。

秋田: 今後は製薬にDXをどう使っていくかが課題だと考えています。例えば論文検索の自動化など新薬開発の期間短縮に貢献するような取り組みを積極的に進めていきたいですね。

Client Profile 生化学工業株式会社様

会社名生化学工業株式会社
本社東京都千代田区丸の内一丁目6-1
丸の内センタービルディング10F
URLhttps://www.seikagaku.co.jp/ja/index.html

「糖質科学」を専門分野とする研究開発型の製薬企業。1947年の創業以来独創的で有用な医薬品・医療機器を創製し続けている。それぞれの国や製品領域で強みを持つ会社と提携し、グローバルに製品を展開、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献している。

導入事例pdf
  • 本事例の情報は、2021年8月現在のものです。
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公開日 2021年08月27日

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