システムが異なる3工場の競争力向上を目的に
mcframe7による基幹システム統合を実施
4年間にわたる長期プロジェクトを経て基幹システムを統一

杏林製薬株式会社

  • ERP/基幹システム
  • 生産/製造管理
  • 製造

杏林製薬株式会社のグループ会社であるキョーリン製薬グループ工場には3つの工場がありますが、各工場で基幹システムが異なり、データの粒度や業務運用の相違が大きな課題となっていました。そこで、各工場の業務統一を目指して「mcframe7」を導入し、基幹システムの一本化を実現しました。今回は、企画構想開始から4年にわたる導入の経緯や導入後の効果について、ITソリューション部長の村松由博氏、同部の石川直志氏、田村雅輝氏にお話を伺いました。

課題

複数工場での異なる基幹システム運用が、データ活用や業務効率化の妨げに

── mcframe7導入前の運用についてお聞かせください。

杏林製薬株式会社
ITソリューション部
ITソリューション部長
村松 由博 氏

村松: プロジェクト開始時点ではグループ内に3つの工場がありました。グループ会社間での吸収合併や統合もあり、2工場では「mcframe Pharma」、残る1工場では他社ERPと、それぞれ異なるシステムで業務を運用していました。

石川: システムが異なることで、データの粒度や基準単位が不統一な状況でした。例えば、生産実績の工程管理やデータの粒度が工場ごとに異なり、横断的な比較や活用が困難でした。

杏林製薬株式会社
ITソリューション部
システムプロジェクトグループ
石川 直志 氏

── 現場での作業負担も大きかったのでしょうか。

石川: それぞれのデータを一度、中継用システムに集約して粒度調整や再計算を行う必要がありました。複数の工程を介在させなければデータが活用できない点は、大きな課題でした。

田村: ある程度の自動処理はシステムで実現していましたが、会計処理など緻密な確認を要する部分は、Excelを用いて手作業で粒度やフォーマットを整えるケースもあり、完全な自動化には至っていませんでした。

杏林製薬株式会社
ITソリューション部
システムプロジェクトグループ
田村 雅輝 氏

── そうした運用が長期化していたのですね。

田村: 長い拠点では20年近く同じシステムを使い続けていました。その時々の必要性に応じて中継システムを構築したり個別対応を重ねたりした結果、システム構成が複雑化・冗長化していました。



── システムの違いによる業務面以外の課題はありましたか。

村松: 当社の中期経営計画では、「コスト競争力の向上」を掲げていますが、3工場の業務運用が異なるままでは現場の負担が減りません。また、正確な生産能力の把握も難しく、経営上の課題となっていました。データを活用しきれていないという危機感から、業務・システムの一本化が必要であると判断しました。

導入システム

業務統一を前提にmcframe7を採用し、異なっていた基幹システムを統合

── mcframe7導入の決め手は何だったのでしょうか。

村松: まず3工場のキーメンバーで業務運用の統一について議論を重ねた結果、統一化が可能であると判断し、mcframe7を含む複数のERPを比較検討しました。

石川: 2工場で既に「mcframe Pharma」を使用しており、提供元であるインテックが当社の既存業務を深く理解していたことが大きなポイントでした。

── 導入を進める上で、特に重視した点は何でしょう。

村松: 「システムの入れ替え」そのものではなく「業務の統一」を最優先事項として進めました。プロセス自体は要件定義から移行まで標準的な手順を踏みましたが、初期段階で細部を固め過ぎず、進捗に合わせて詳細を詰めていく柔軟な手法を採りました。

── 工場追加など当初計画からの変更もあったと聞きました。

村松: 当初は2023年4月のリリースを予定していましたが、さまざまな要因でプロジェクトを延期しました。その際、社内関連部門から「会計月に合わせたリリース」という強い要望があり、期間を1年延ばし、この猶予をテストや現場教育、リハーサルに充て、万全の準備を整えました。また、別プロジェクトとして計画していた新工場の高岡工場への対応もこのプロジェクトに取り込んで進めましたが、こちらは新規構築であったためスムーズに進行しました。

── 既存3工場への導入で苦労された点は。

田村: 長年蓄積されたマスターデータの整理です。不使用のものを含め膨大な量があり、当初は全て移行する予定でしたが、事前リハーサル時に多くのエラーが発生しました。最終的には1件ずつ内容を確認して対応しました。


効果と展望

mcframe7によりデータの一元化に成功 安定稼働をベースに次の活用段階へ

── mcframe7導入の効果はいかがでしょうか。

石川: 全工場を統合したシステムは安定稼働しており、課題だった分断状態は解消されました。システム内で情報が完結するため、インターフェースによる連携作業が不要になり、情報連携のスピードと業務効率が向上しました。

── 運用開始直後の状況を教えてください。

石川: 生産や出荷に支障を来す大きなトラブルはありませんでした。リリース直後は問い合わせが集中しましたが、1、2カ月で沈静化しました。この規模のシステム統合としては、非常にスムーズな立ち上がりだったといえます。

── 導入後に見えてきた新たな課題はありますか。

田村: 複数拠点と本社が1つのシステムを利用するため、システムログの量が想定を上回りました。動作への影響を防ぐため、過剰なログが出力されないよう設定を見直し、パフォーマンスを維持しています。

── 今後の展望をお聞かせください。

村松: 同一の粒度とタイミングでデータが蓄積される基盤が整ったので、今後はよりスピード感をもってデータを活用していきたいと考えています。併せて、属人化を排除し、システムをより良い形へ発展させていく方針です。

── 同様の課題を抱えている企業にアドバイスはありますか。

石川: 要件定義において現場の全要望を受け入れるのではなく、システム統合の目的に沿って適切に要件の選定を行うことです。後続の工程がシンプルになり、スムーズな稼働につながります。

── インテックへの期待や要望はありますか。

田村: 今後は生産設備の稼働状況やキャパシティ、納期遅れ、歩留まり率といったデータの活用を目指しています。システム外にあるデータの収集方法を含め、より使いやすい環境構築を共に検討していければと期待しています。


Company Data 杏林製薬株式会社

「キョーリンは生命を慈しむ心を貫き、人々の健康に貢献する社会的使命を遂行します。」という企業理念に基づき、医療ニーズに応える価値の高い新薬を継続的に提供し、人々の健康に幅広く貢献する企業となることを目指しています。創薬面においては特定の創薬研究領域(疼痛・自己免疫疾患など)に注力し、新薬の創出に取り組んでいます。また営業面においては呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科を中心とする特定領域にリソースを集中するFC(フランチャイズ・カスタマー)戦略を展開しています。
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公開日 2026年03月18日

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