事例紹介
お客さまの導入事例やシステム構築例をご紹介します。システムやサービスの導入検討に、せひお役立てください。
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KEY POINTS
●医療情報連携プラットフォームを構築し、病院情報システムの各種データを「HL7 FHIR」に変換、蓄積
●臨床研究に必要な医療データを臨床研究支援システム「REDCap」とリアルタイム自動連携
大阪公立大学医学部附属病院では、電子カルテに保管された医療データを臨床研究に活用してきた。このたび、医療データ標準化を目的に医療情報連携プラットフォームを構築し、国内で初めて、リアルタイムで病院情報システムのデータを臨床研究支援システム「REDCap」に連携させた。導入の背景と経緯、効果について大阪公立大学医学部附属病院 医療情報部 副部長 岡村浩史氏にお話をうかがった(文中敬称略)。
*本リーフレットは大阪市立医学部附属病院(2022年1月)時のインタビューをもとに作成。2022年4月に大学統合により現在の病院名に変更
─この問題をどのように解決しようとしたのですか。
岡村:REDCapには、医療情報交換のための標準規格であるHL7 FHIRのデータリポジトリがあれば、そこからデータを取り込める機能が標準で搭載されています。つまり、電子カルテをはじめとする病院情報システムのデータを医療情報連携プラットフォーム上でHL7 FHIRに変換して蓄積しておけば、REDCapに大きなカスタマイズを加えることなくデータ連携が可能になります。
─工夫された点、こだわったポイントを教えてください。
岡村:病院情報システムのうち、どのデータをどういう方法で変換してFHIRリポジトリに連携させるか、リアルタイム性とコストのバランスを考える必要がありました。REDCapは臨床研究が目的のEDCですので秒単位・分単位のリアルタイム性が求められることはありません。ですが、せっかくFHIRリポジトリを作るのであれば、将来は臨床業務支援でも活用したいというビジョンがありました。
臨床の視点に立つと、血液検査や細菌検査の結果などはリアルタイムでの連携がどうしても必要です。一方、リアルタイム性が求められない項目に関しては、コストを抑えるためにバッチ処理での連携という形を取りました。
─苦労されたことはありましたか。
岡村:国内では電子カルテとEDCのリアルタイム連携は先例がなく、自動連携を実現しているところもほとんどありません。システム構築の途上では医療情報連携プラットフォームとREDCap、それぞれのバージョンを上げると連携がうまくいかなくなるという問題が起こりましたが、原因調査や問題の切り分けなどを含め、インテックの方々の協力を得て、解決することができました。
─SIerとしてインテックを選んだ理由を教えてください。
岡村:病院情報システムとREDCapをリアルタイムで連携させる仕組みの構築は日本で初めてで、大きなチャレンジでした。実績のあるSIerにお願いしたいと考えていたところ、医療情報連携に特化した製品を持つインターシステムズ社から、FHIRリポジトリの構築およびHIS(病院情報システム)との連携実績やFHIRマッピングにノウハウをお持ちのSIerとして紹介されたのがインテックでした。
インテックは我々が決して簡単ではない要望を出しても常にポジティブな姿勢で検討してくれます。安心して相談することのできるパートナーだと評価しています。
─医療情報連携プラットフォームを利用したデータ連携にどのような効果を期待していますか。
岡村:臨床データをREDCapに自動連携させることで、臨床研究におけるデータ収集の手間を減らせるというのが第一です。臨床研究者から見れば、手間を減らせれば、臨床研究の可能性が広がります。これまでは必要なデータを手作業で集めるのは現実的ではないと諦めていた研究が実現できるようになり、臨床研究の幅が広がっていくことを期待しています。例えば、治療薬の総投与量と副作用の関連性を調べたくても、膨大な数の患者さんの電子カルテから手作業でデータを抜き出して入力するのは現実的ではありませんでした。自動連携・自動計算でデータを集められるようになれば、こうした研究も実現できるでしょう。
大阪公立大学医学部附属病院
所在地:大阪市阿倍野区旭町1-5-7
大正14年に大阪市立市民病院として開設され、昭和30年より大阪市立大学医学部附属病院となる。医学部建学の精神である「智・仁・勇」に基づいて「市民の健康に寄与する高い医療の提供」「こころ豊かで信頼される医療人を育成」「医療の進歩のためのたゆまぬ努力」を基本理念とする。特定機能病院として他の病院と連携を強化しつつ高度で先進的な医療の提供、高度な医療技術の開発に取り組む。2022 年4月大学統合により、「大阪公立大学医学部附属病院」へ名称変更。
※本事例の情報は、2022年1月現在のものです。
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特定の製品やサービスに依存せず、医療機関のニーズ/課題に合わせて医療データの高度利用を可能とするプラットフォームです。