社内システムのサイロ化を解決するOutSystemsとは?

従来、日本の企業には縦割り型の組織が多く見られ、その弊害がたびたび指摘されてきました。情報が社内へ横断的に行きわたらないことがあり、ビジネス効率の低下や新しいものを生み出すイノベーションの阻害要因となってしまいます。このような現象は、情報・データの「サイロ化」と呼ばれています。今回は、社内システムのサイロ化の問題、解決方法の一つであるローコード開発ツールの採用とOutSystemsについて紹介します。

いますぐ解決すべき社内システムのサイロ化とは?

現代のビジネスにおいて、情報の共有は必要不可欠です。しかし、企業の体質や長年にわたる変遷、統合などさまざまな理由によってサイロ化は進行しています。まずは社内システムのサイロ化について説明します。

サイロ化とは?

サイロとは、もともと家畜の飼料や穀物などの貯蔵庫を指す言葉です。各サイロは内容物が混ざらないよう独立した構造をしていることから、組織の縦割り構造や情報が分断された状態を示す言葉としても使われるようになりました。

社内システムのサイロ化は、社内での情報共有を阻害するシステム環境のことをいいます。営業部と開発部それぞれが顧客情報を保持しているが、互いの部の情報を閲覧することができない、といった状態です。サイロ化が進む原因は、組織が縦割りであり部門最適化したシステムを構築することにあります。部門内では使い勝手がいいものの、他部門のシステムと連携することを想定しておらず、情報を共有することができなくなってしまいます。また、特定のシステムで得たデータを他のシステムで活用できないことも、情報共有を妨げる要因となります。

サイロ化の問題点

データが活用されなくなる

データを活用しようとしたときに、データの統合がスムーズにできず、データを使うことそのものが手間となってしまいます。企業として入手したデータを有効に利用できなくなるだけでなく、データの活用に消極的な組織となるリスクが生まれるでしょう。

スピーディーな意思決定ができない

経営や組織運営では、データに基づいた意思決定を行うことがほとんどです。そのため、情報のサイロ化が起きていると、情報を手元に集めるために複数の部門に依頼しなければならず、即時性が求められる場合は特に判断のスピードが遅くなってしまいます。

システム運用でコスト面・効率面での弊害が生まれる

各部門の複数のシステムを、バラバラの技術を利用して構築した場合、情報共有を阻害するだけでなく、システム運用のコスト、効率面でも弊害が生まれます。複数のデータベースが存在するだけで、無駄なライセンス費用が発生まれている可能性があります。また、技術や開発標準がシステムごとにバラバラであれば、同じことを実現する機能であっても、それぞれのシステムで開発することとなり非効率です。

サイロ化解消のメリットとは?

サイロ化が無事に解消されれば、統合されたデータであるビッグデータを得られるようになります。得られたビッグデータを、AIやIoTシステムを用いた手法で解析することによって、市場や顧客の動向を予測することが可能となります。意思決定のスピードが上がるため、環境の変化や新たなニーズを察知し、すぐさま最適な経営判断ができるでしょう。

もう一つは、業務の効率化です。いままで気づくことができなかった需要や、業務における無駄が特定できるため、改善ポイントを見つけることが可能です。専念すべき業務が明確になるため余計な作業を省いたり、データの統合による情報収集や部門間連携を効率化したり、業務スピードの高速化を実現できます。

情報のサイロ化が解消すると、企業におけるデータの価値が高まり、結果として生産能力向上につながります。

サイロ化解消の施策とは?

サイロ化の解消にもっとも効果的な施策は、データ統合のためのソフトウェアやシステムを利用することといわれています。既存のサイロ化したデータベースはそのままの状態で、データを統合する手法のソフトウェアが登場しています。この手法では、各サイロに蓄積されているデータを移動させることなくデータ統合が行われるため、短い期間で情報のサイロ化を解消できます。

OutSystemsの採用によるアプリケーション開発基盤の統合

サイロ化された社内システムを放置すると、前述のとおり、結果的に企業に不利益をもたらすおそれがあります。古いシステムの再構築の際にOutSystemsを採用することにより、システムのサイロ化を解消することができます。また、OutSystemsで他のシステムとの機能の連携やデータの連携をすることで、サイロ化されたデータを活用することができるようになるのです。

OutSystemsとは?

OutSystemsは、開発速度の向上が期待できる「ローコード開発ツール」です。システムの設計情報をはじめ、ソースコードなどを自動生成する手法のため、コーディング作業をなくすことができます。また、開発工程の要件定義や設計、開発、検証も、設計情報のみ用意すればソフトウェア上で完結が可能。従来の開発方法と比べて高速で開発できることから、多くの企業から注目されています。OutSystemsでは、モバイルおよびウェブアプリケーションの構築・展開・管理も容易にできます。レスポンシブデザインに対応したWebアプリケーションの開発や、豊富なユーザインタフェース機能によるDevOps(開発・運用による共同開発)を実現するサービスです。

OutSystemsの特長とメリットとは?

ビジュアルモデリングで開発期間を短縮

OutSystemsでは、ビジュアルモデリングでアプリケーションを開発できます。複雑なソースコードを書く必要がないうえに、モデリング表記をドラッグ・アンド・ドロップするだけで記述することができるのです。この手法により、アプリケーションの設計からテストまでの開発スピードを大幅に短縮します。

Webもモバイルもひとつの基盤で開発が可能

全デバイス対応となっていることもOutSystemsの特長の1つです。HTMLとCSSを手動コーディングすることなく使いこなせるため、新たな技術の習得やデバイスごとの特性を把握することなくアプリケーションの開発が可能となっています。

保守・運用フェーズまで効率化

アプリケーションのデプロイや以前のバージョンへのロールバックはワンクリックで実行することが可能です。また、OutSystemsは多機能監視ダッシュボードを搭載しています。保守・運用フェーズで欠かせないパフォーマンスの監視がしやすくなっていることはメリットの1つといえます。

脆弱性対策(高度なセキュリティ対策)

OutSystemsは機密データの取り扱い時に求められるセキュリティ基準を満たしたプラットフォームを利用しています。アクセス制御やエンドユーザー認証、外部システムへのアクセスログ取得機能などが備わっており、コード生成時に脆弱性を回避する仕組みも取り入れられています。セキュリティ対策を高いレベルで行っているという安心感があるでしょう。

また、ひとつのプラットフォームで、Web、モバイル、チャット、AR/VRなどの高品質な体験を顧客に提供でき、多くのタッチポイントに対応したアプリケーションの構築が可能です。開発スピードが早くなることも加えると、変化する市場やニーズにいち早く対応するのに役立つといえるでしょう。

OutSystemsの採用によるアプリケーション開発基盤の統合

OutSystemsによるアプリケーション開発基盤の統合とは、複数の異なる技術、ツールでつくられているシステムをOutSystemsで再構築することを指します。サイロ化を解消するためには、データ連携やシステムメンテナンスがスムーズにできるよう、1つの基盤に統合することが重要です。10年以上前に構築された複数のWebシステムの再構築やEXCELシステムのWeb化などの検討が必要な場合、アプリケーション開発基盤を統合するチャンスといえます。

OutSystemsでつくったシステムは、他のシステムの機能やデータと連携も可能です。SOAP Webサービス、REST API、SAPシステム、外部のデータベースシステムをサポートしているため、必要最低限の設定のみで接続できます。外部システムと連携するためのメソッドやデータ構造が生成されると、アプリケーションロジックにおいてそれらを視覚的に使用することもできます。

OutSystemsによって複数のシステムを再構築したり別のシステムと連携できるようにしたりすることで、システムのサイロ化を解決することができるのです。

OutSystems導入にむけた注意点

OutSystemsにかぎらず、アプリケーション開発基盤を選ぶ際に注意しなければならないことがあります。企業それぞれの環境やデータの種類に適合したシステムの構築方法や他システムとのデータ連携の可否を確認するとよいでしょう。データの仕様や環境、使用方法などは企業によって大きく異なるため、導入支援サービスにおいて豊富な実績と経験を持つ専門家のサポートを受けるとより安心です。

まとめ

AI時代のいま、情報のサイロ化は、企業の成長をさまたげる重要な問題となっています。このような問題は、とくに規模が大きく部門間の連携をとりにくい大企業でよく見られます。しかし、OutSystemsをはじめとするローコード開発ツールを導入することで、複数のアプリケーション開発基盤を1つに統合することができます。また、他のシステムともデータ連携ができるため、情報のサイロ化を根本的に解決することが可能。生産能力の向上や業績改善につながり、企業に新しい気づきと価値をもたらす可能性も十分にあるでしょう。情報のサイロ化、ならびにOutSystemsの導入に関して、お気軽にご相談ください。

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公開日 2021年04月28日

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  • システム開発を変えDXを実現する「ローコード開発」

    ローコード開発のメリット・代表的なツールのご紹介【全22ページ】
    1章 システム開発を変える!ローコード開発とは?
    2章 「2025年の崖」とITシステムの課題
    3章 DXを実現する!ローコード開発がもらたすメリット
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