ITリソースの柔軟性とBCP対策を鑑み、AWSへの移行を決意
環境および基幹システムを熟知したメンバー選出によりスムーズな移行
製薬業の基準であるGMP省令の検証もインテックの協力で解決

ジャパンメディック株式会社様

  • クラウドサービス

富山県富山市に本社を置くジャパンメディック株式会社は、医薬品、医薬部外品の開発・製造・販売を行っています。処方箋なしで購入できる一般用医薬品に特化しており、自社で開発した製品を自社ブランドや、パートナー企業のブランドで販売していることが特徴です。
今回同社は、マネージドクラウドサービス on AWSを導入し、基幹システムである生産管理(mcframe)、販売管理(社長の右手)に加え、ADサーバやファイルサーバなどの基盤を移行しました。その経緯や導入効果について、取締役 組織デザイン部部長 前田真帆氏、同部 SCMグループ グループ長 越前業平氏、同部 情報システム担当 高橋愼一氏にお話を伺いました。

課題

OSのサポート終了が迫る中、GMP省令を遵守しながらクラウドへ移行

ジャパンメディック株式会社
取締役
組織デザイン部 部長
前田 真帆 氏

── マネージドクラウドサービス on AWS(以下、本サービス)の導入経緯は何でしょう。

前田: サーバスペックに柔軟性がほしいと考え、クラウドサービスへの移行が選択肢に挙がりました。サーバの基本ソフトウェア(OS)がサポート終了を迎えることで更新の必要性があったのも理由の1つです。また、基幹システムにおけるデータベースソフトのライセンス費用などコスト面も課題になっていました。

高橋: 移行することでデータベースのライセンス管理が容易になる点とサーバコストなどを考慮した結果、本サービスへ切り替えることにしました。

── 移行前のシステムで課題などはありましたか。

高橋: これまでのシステムでも使用上は特に問題はありませんでした。切り替え後は、運用管理を本サービスのダッシュボードで一元管理できるようになり、業務負荷が軽減されました。

── クラウドへの切り替えに不安はありましたか。

前田: ネットワーク遅延の懸念はありましたが、問題となる現象は出ていません。逆に、クラウドに分散されるため、セキュリティやBCP対応などを強化できるという期待がありました。

ジャパンメディック株式会社
組織デザイン部
SCMグループ グループ長
越前 業平 氏

── 移行に際して製薬業ならではの要件はありますか。

越前: GMP省令(※)という医薬品を作るための製造と品質の管理基準があり、薬の製造においてはそれを遵守しなければなりません。医薬品製造業ではシステムが変わった場合に従来通り製造販売が行えるかを検証することが必須であり、ツール1つ作る場合でも個々にバリデーションを実施するという手順を踏む必要があります。インテックは医薬品業界の実績も豊富にあったため、スムーズに進めることができました。

以前は薬作りの工程がバリデーションの対象でしたが、現在は生産にかかわるシステムも保証されていないと同じ薬ができないことがあるので、必ず検証を行う必要があります。特にシステムが変わっても正常にアプリケーションが動作し、同じものを作れるという担保を取る必要があります。その検証項目の立案などもインテックに支援していただきました。


※ GMP省令:厚生労働省が定める医薬品及び医薬部外品の製造管理及びび品質管理の基準(Good Manufacturing Practice)

導入システム

マネージドクラウドサービス on AWSへ 検討時間は長く取り、本番移行は数日で完了

── 本サービスへの移行期間はどのくらいかかりましたか。

ジャパンメディック株式会社
組織デザイン部
情報システム担当
高橋 愼一 氏

前田: AWSにするかどうかを1年くらい検討しており、移行すると決めた後は8カ月程度です。弊社のほぼ全てのシステムがインテックのデータセンターにあり、影響範囲も大きいので、検討すべき事項をしっかりと洗い出して取り組みました。

高橋: インテックの移行プロジェクトメンバーはこれまでも当社システムを担当していただいているお付き合いのある担当者との作業となりました。技術的な相談や問い合わせについても対応いただき、安心してスムーズに移行できました。

── 移行中に問題などは起こりませんでしたか。

高橋: 想定外の大きな問題はありませんでした。テスト時に細かなトラブルはいくつか発生しましたが、そこで問題を洗い出せたことによって、本番移行が数日間でスムーズにできました。

── 導入後に変化などはありましたか。

前田: 移行したのが基盤の部分で、特にアプリケーションが変わったわけではないため、これまで通り使えることが一番です。

高橋: ネットワーク構成が変わった部分にもトラブルはほぼ発生していません。本サービスで導入した監視ダッシュボードの異常検知は設定の自由度が高く、さらにリアルタイムでの状況把握が可能です。また、トラブルが発生する前にメールにてアラート通知される状態を実現できました。トラブル発生前に先手先手で手を打てるというメリットを感じています。


効果と展望

令和6年能登半島地震でもシステム停止せず システムを活用して社内環境整備を進めたい

── クラウドになったことで感じられるメリットはありますか。

前田: 月額利用という費用面は大きなメリットです。これまではサーバを立てる費用をかけないとテスト環境が作れませんでしたが、月額で必要な期間だけ利用し、終了したらやめるということも容易になりました。データセンター利用時と比べて、ハード面のコストはかなり下がりました。

高橋: 極端な例で言えば、サーバを1、2日利用しただけでやめるということも可能になります。アプリケーションの更新や切り替えが発生した場合でも、事前テストを十分に行った上でリリースできるような体制が組めると考えています。

前田: メモリも増設しやすく、最初はスモールスタートで組み、事業の変化でデータ量が多くなってきたら増設、ということもできます。逆にダウンサイジングが可能というのもメリットです。

── 能登半島地震がありましたが障害はありませんでしたか。

高橋: 能登半島地震でシステムが止まることはありませんでした。

── 本サービスを検討する企業にアドバイスはありますか。

高橋: BCPの対応やサーバの可用性などは、クラウドに移行することで大幅に向上すると思います。セキュリティについても社内LANと変わらない構成にできます。オンプレミスのサーバが残るケースもあると思いますが、可用性が上がりますし、クラウドの導入を検討してもいいと思います。本サービスでは、弊社で状態監視ができるだけでなく、月次レポートの提供やダウンサイジング、アップサイジングの両方で運用改善提案をいただけます。

── 今後、インテックへの期待や要望はありますか。

前田: 弊社は2030年に向けたビジョンを掲げており、社内環境の整備に取り組んでいます。そのために、不便なところや時間のかかる事案に対し、システムを活用して業務負荷を軽減し、新たなチャレンジをするエネルギーや時間を創出していきたいと考えています。そうした時、システムの重要性はますます高まっていきますので、インテックの支援を受けながら、いかに楽しく仕事ができるかという点を実現していきたいと思っています。


Company Data ジャパンメディック株式会社

1950年に富山県富山市で前田製薬所を創業し、1960年に株式会社前田模範堂を設立。配置薬のメーカーとしてスタートし、独自性のある製品を数々開発してきたが、1995年にジャパンメディック株式会社に社名を変更するとともに外用剤に注力することに。現在はOTC分野を中心に自社ならではの付加価値を実現するために自社開発にこだわり、パートナー企業の要望に応え、安心・安全な製品を提供している。
導入事例pdf
  • 本事例の情報は、2024年3月現在のものです
  • 本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または登録商標です。
  • 本文中に記載されている事項の一部または全部を複写、改変、転載することは、いかなる理由、形態を問わず禁じます。
  • 本文中に記載されている事項は予告なく変更することがあります。

公開日 2024年04月17日

導入した商品・サービス

お問い合わせ

インテックへのお問い合わせは、こちらからお願いいたします。

Webから問い合わせる
ページトップへ戻る