Azure OpenAI Serviceによる安心・安全なChatGPT環境を構築
生成AIを活用するための利用ガイドラインをパッケージ化した
企業向けChatGPT導入のサポートを開始

株式会社インテック

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インテックでは、「ChatGPT」の活用による業務効率化や生産性向上、および、社員の生成AIの活用スキルの向上や知識拡充を支援するため、社内向けのChatGPT環境を構築しました。「統合セキュアネットワークサービス(DCAN)」による閉域接続と「Azure OpenAI Service」の導入でセキュリティを確保するとともに、ガイドラインを定めることでChatGPTの安全な運用と活用の促進・定着化を支援しています。また、半年間の社内運用で得た知見をもとに、企業向けChatGPT導入のサポートを開始しました。ChatGPT環境の概要と運用効果について、インテック 管理本部 情報システム部の金平剛が解説します。

課題

ChatGPTのセキュリティの不安をなくし 全社員が安心・安全に活用できる環境が必要

株式会社インテック
管理本部 情報システム部
   部長 金平 剛

── 社内にChatGPT環境を整備した経緯についてお聞かせください。

ChatGPTをはじめとする生成AIは、新しいアイデアの発掘や業務の効率化などへの活用が期待されています。他方で、ChatGPTはクラウドサービスのため、機密情報や個人情報の流出、生成された情報の信頼性、著作権侵害のリスクなどがあります。

当社はSIerとして、注目すべき技術である生成AIについてなるべく早く理解し、十分に使いこなすことは重要であると考えています。実は、1年ほど前から生成AIに興味がある社員を中心にChatGPTの試用が増え、セキュリティ上の懸念が出ていました。役員からはChatGPTの業務利用には慎重な意見もありましたが、利用の禁止や制限といった社内規定を設けるだけでは根本的な解決にはなりません。社内で安心して利用できる環境の整備が急務と考えました。

こうした状況を踏まえて、Azure OpenAI Serviceの導入を決めました。Azure OpenAI ServiceはMicrosoft Azure上でChatGPTなどの言語AIモデルを利用できるサービスです。Azure上のデータは高度なセキュリティで保護されるため、通常のOpenAIとは異なり、ChatGPTに入力したデータが外部に出る心配がありません。

加えて、運用ルールやガイドラインを作成し、生成された情報をそのまま使用しない、といった利用上の注意点を周知徹底することにしました。

導入システム

Azure OpenAI Serviceで情報流出を防ぎ ガイドラインでChatGPTの活用を支援

── 導入したサービス内容についてお聞かせください。

当社では以前より、社員のセキュアなPC環境として「Microsoft Azure Virtual Desktop(AVD)」を用いたクラウド型バーチャルデスクトップ環境を構築・利用していました。すでにAzureネットワークに接続できる環境があったこともAzure OpenAI Serviceを導入した理由の1つです。さらに、統合型セキュアネットワークサービス(DCAN)でAzure ネットワークと社内ネットワーク間を閉域接続することで社内のデータが外部に出ないようにしています。

2023年6月にフェーズ1として、自社向けのChatGPT環境を構築しました。こちらは通常のChatGPTと同じ学習済みデータを使用したもので、 ユーザーはブラウザーから質問を入力し、回答を得ることができます。2023年12月にリリースしたフェーズ2では、インテック独自のデータベースを用いた社内データの検索機能を追加しました。具体的には、社内向けにリモートアクセスやグループウェアの利用方法などのFAQサービスを提供しています。

導入については全社に一斉導入ではなく、段階的に公開としました。接続認証には、人事情報と連動したMicrosoft Entra IDを使用しており、まず正社員のみに提供し、安全性を確認したうえで、11月以降からパートナー社員にも公開しました。さらにグループ会社の社員も365のアカウントがあれば利用できるようにしています。現在はChatGPT 3.5を基本としていますが、要望に応じてChatGPT 4.0にも個別で対応しています。

── 利用するにあたり導入されたガイドラインについてお聞かせください。

ガイドラインは、利用者向けのアクセス手順や利用方法のほか、禁止事項や守るべきルールなどをまとめています。利用を促進するため、単に禁止事項を列挙するのではなく、許可された使い方を明確に示すようにしています。

例えば、生成AIが返す回答は、しばしば誤っていることがあります。生成された文章をそのまま使わず、確認することを社内に周知するようにしています。また、利用を促進するため、アイデア出しや壁打ち、プログラミングのコーディングに使う方法といったお薦めの使い方を示しています。

効果と展望

ChatGPTの社内利用が活発・定着化 Officeソフトに導入し日常業務でも使いやすく

── 導入後のChatGPTの利用状況についてお聞かせください。

現在、1日の利用者数は200名程度で、月間では900名程度が継続して使うようになっています。2023年11月に社員665名を対象に実施したアンケートによると、約6割が悩み相談やアイデア出し、約4割が文章やメールの作成、要約・翻訳に使用しています。プログラム作成支援は3割弱で我々の期待していたほどではありませんが、業界情報の調査やExcelマクロ・数式作成など、日常業務の効率化にも多く利用されています。

社員からは活用事例の展開の要望が多く寄せられており、ChatGPTへの興味と期待の高さがうかがえます。情報システム部としては、今後も活用事例の展開と情報発信を継続していく予定です。また、生成AIのユーザー間事例を共有する場として、社内コミュニティも開設しています。

── 今後のサービス拡張について考えていることはありますか。

今のところ特定の社員に利用が偏っているので、全社員に生成AIを使い倒してもらうことが目標です。それには今のインターネット検索のような使い方だけでは足りないと感じています。さらに活用を広げるため、「Microsoft Copilot for Microsoft 365」を利用するための準備を進めています。これによりWordやPowerPointなどOfficeソフトに生成AIが組み込まれ、文章や資料作成といった日常業務に活用しやすくなります。

── 企業向けパッケージについてお聞かせください。

各企業の皆さまもChatGPTに興味を持ちつつ、セキュリティ上の不安やどのように活用すればいいのかといった悩みを抱えていると思います。今回、インテックで半年間運用した知見をもとに、企業向けのChatGPT導入サポートのサービスをリリースしました。ChatGPTを初めて使う企業向けの「基本プラン」と、生成AIの業務活用や生産性向上を目指す「オプションプラン」を用意しています。


・基本プラン
基本プランは、Azure OpenAI Serviceを利用したChatGPT環境の構築と、運用をスムーズに開始するための利用ガイドラインテンプレートを提供します。


・オプションプラン
オプションプランは、閉域ネットワークによる安全なAI活用を可能にする統合型セキュアネットワークサービス、AI利活用のための人材育成トレーニングや定着化に向けたコンサルティングなどを提供します。

安全性が担保された環境で生成AIの業務活用を少しずつ広げていきたい、と考えている企業の方はぜひお声がけください。


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公開日 2024年03月12日

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