住民税を市民自ら試算できる住民税額シミュレーションシステムを導入
入力情報を基に申告書も作成可能に

札幌市は、職員の大きな負担となっていた住民税に関する問い合わせへの対応や、申告受付業務を効率化するために、クラウドサービスによる住民税額シミュレーションシステムを導入しました。

住民税額を市民自らPC、スマホから試算

北海道の中心都市である札幌市は2022年8月1日に市制施行100周年を迎え、「札幌が、もっとはじまる。」をキャッチフレーズに、新たな100年へ向けて歩み出しています。

札幌市役所では、住民サービス向上と業務の効率化のため、2022年に、インテックの「住民税額シミュレーションシステム」を導入しました。これにより、市民がPCやスマホから簡単に住民税額を計算したり、住民税申告書を作成できるようになりました。

担当の札幌市 財政局 税政部 市民税課市民税係の木下晃嗣氏は、「税金の計算は、市民の方には難しい面があります。非課税の判定や国民健康保険料の算定も、住民税情報を基にしており、生活に直結する大事な情報です。納税者が自分で税額を計算できるようにして、市民サービスを向上させることが、導入の第一の目的です」と言います。

源泉徴収票や納税通知書が届くころには、税金に関する問い合わせが、多い日には担当者当たり50件程度あり、その対応に多くの時間を要していたそうです。

「お子さんが就職して扶養の対象から外れると税額はどう変わるか、けがや病気をして医療費が多くかかった場合に控除がどれくらいあるのか、土地や家屋を売却するとどれくらいの税金がかかるのかなど、問い合わせの内容はさまざまです。年末には、ふるさと納税で控除される限度額を知りたいという問い合わせも増えます。住民税額シミュレーションシステムを利用していただくことで、市民の方には税額を自分で把握するという意識を高めていただけますし、問い合わせが減少すれば、職員の事務処理負担を軽減できます」と、木下氏は期待します。

導入したシステムでは、札幌市のホームページからリンクした画面で所得額や各種控除額、扶養情報等を入力するだけで、住民税(市民税・道民税)を試算できます。給与所得や年金所得は、源泉徴収票と同じ書式の画面に数値を入力する形式なので、迷わず入力できるようになっています。

個人情報を保護しながら申告書も作成可能に

住民税額シミュレーションシステムでは、入力した情報を基に住民税申告書を作成することもできます。

札幌市の場合、住民税申告書の件数は2万4,000件程度で、申告時期には市職員に大きな負担がかかっていました。木下氏はこう説明します。

「申告受付会場では、対面で1日300人程度の申告を受け付けることもあります。単に申告書や添付書類を受け取るだけではなく、その内容を確認して、必要があれば修正するという作業ですので、1件1件、時間を費やしていました。住民税額シミュレーションシステムを導入したことで、より正確な申告書が作れますので、市民・職員ともに申告に必要な作業が効率化できます」

札幌市が住民税額シミュレーションシステムの導入を検討し始めたのは2021年のこと。

「複数のシステムを検討した結果、インテックを選んだのは、他自治体での導入実績が多かったのに加え、政令指定都市など、札幌市と同程度の人口の自治体でも多くの実績があったのが決め手となりました」(木下氏)

2022年頭には稼働させるという短期間での導入でしたが、予定通りに終えられました。クラウドサービスで提供しているシステムのため、札幌市ではハードウェア、ソフトウェアの準備が不要であり、個別設定に関する設定シートへの回答や、トップ画面の表示内容、申告書書式データやシステムへのリンクを設置するためのページを用意すれば利用できるからです。

クラウドサービスですが、インターネット経由で送られるのは生年月日や所得・控除に関する数値情報のみで、住所・氏名といった個人情報は送らず、クラウドサーバにも記録を残さない仕組みになっています。クラウド上で計算された税額試算結果が市民のPCやスマホに表示され、申告書を作成したい場合には、住所・氏名が空欄のPDFファイルが利用者のPC、スマホ上に作成されます。空欄へは市民が自分で入力して印刷するか、印刷後に手書きで記入する仕組みです。

木下氏は、インテックをこう評価しています。

「問い合わせに対してすぐに回答してくれましたし、こうしたいという意図をすぐに汲み取って、それに合ったシステムを作ってくれたので助かりました」

より簡単に利用できるよう簡易マニュアルを作成

住民税額シミュレーションシステム導入の成果について、木下氏は手応えをこう語ります。

「初年度としては上々の滑り出しだと思っています。市民からは、ホームページで税の計算ができるので便利になったという話をうかがっています。このシステムを使って作成された申告書の件数は全体の1.5%程度でしたが、申告書の作成ボタンが押された記録は多くみられました。まだ導入して半年ですので、これから利用は増えていくと思います。修正の必要のない申告書が増えたのに加え、職員もこのシステムを利用して問い合わせにすぐに答えられるのは便利ですね。今後は、いかに簡単に使ってもらえるようにするかがポイントだと考えています」

札幌市では、システムの告知にさらに力を入れるとともに、通常マニュアル以外に簡易マニュアルも作成して、さらなる利用拡大を図っています。

札幌市 財政局 税政部 市民税課 市民税係 木下晃嗣氏

Client Profile 札幌市様

会社名札幌市
市制施行

1922年8月1日

人口

1,973,845人(2022年6月1日現在)

URL札幌市住民税額シミュレーションシステム
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公開日 2022年09月27日

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