属人的な運用から恒久的な「安定稼働へ」
~ 現場を変えた運用アセスメントとプロセス改革 ~

日機装株式会社

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産業用特殊ポンプから航空宇宙、メディカル分野まで、世界トップクラスの技術力で社会を支える日機装株式会社。その事業基盤をITの側面から担う情報システム部門は、限られた人の経験と勘に頼っている状態にありました。

業務は属人化し、業務プロセスの整備もなかなか進まないという状態を打破するため、外部パートナーの力を借りることに。そこでインテックが提案したのは、運用の実態と成熟度を客観的に評価し、業務品質を担保するための基本方針策定および手順書整備による、組織改革でした。

プロジェクトを始めるに至った背景と得られた成果について、日機装の皆様に伺いました。

課題

優秀な人材に頼る「綱渡り」状態が続いていた

── インテックにご相談いただく以前、情報システム部門の皆さんはどのような課題を抱えていたのでしょうか?

小山氏: 今回当社の取り組みをお話させていただくメンバーは、情報システム部門のインフラグループに所属しています。私は現在同部門のビジネス部門を支援するグループに所属していますが、プロジェクト導入当時はインフラグループの責任者を務めていました。

当時のグループは優秀なメンバーの経験や知識に頼るといった、属人性の高い業務遂行に頼りがちでした。この状態を一言で表すと、まさに綱渡りそのもの。グループに寄せられる問い合わせについて、優秀なメンバーの経験や知識で何とか乗り切る―そんな属人的な対応が常態化していたのが実情です。


大益氏: 私はインテックとのプロジェクトが始まる直前の2023年8月に入社しましたが、手順書や障害の経緯・結果などを記録として残すルールも浸透しきれておらず、過去に似たような障害が発生しても、ゼロから調査を始めるという非効率なことが多発していました。


日機装株式会社
コーポレート本部
グローバル情報統括部
航空宇宙事業ITグループ
グループリーダー 小山 和則 氏


安部氏:私が入社して7年になりますが、大益の話に加えて人員も常に不足していました。日々の問い合わせ対応に追われ、手順書を作成する時間など到底確保できずにいたため、ITサービスのガバナンスや品質維持が困難な状況だったのです。


小山氏:こうした状態に陥っていた背景として、私たちのグループ特性も大いに影響していたと思います。当社の情報システム部門は当時5つのグループがあり、各グループの担当領域は明確に定められていました。その一方でインフラグループは、既存のグループに明確に切り分けられていない業務を横断的に担う立ち位置にあり、業務領域が曖昧な部分が残る状態でもありました。

業務範囲が広い中、限られた人員でなんとか問い合わせ対応をしてきたことに、一定の自負がありました。しかし、この状態を維持するわけにはいかないという危機感が、日に日に強くなっていったのです。

選定理由

アウトソーシングの前にやるべきことを一緒に考えてくれたパートナー

── 属人化という根深い課題に対して、どのような経緯で運用アセスメントと運用ルール、ガイドラインの作成という方法を採用するに至ったのですか?

小山氏: 当初のプランはもっとシンプルでした。とにかく社内のリソースが圧倒的に足りなかったので、決まった業務を外部に切り出す「アウトソーシング」が最善策だと考えたんです。「アウトソースするための手順書作りからお願いするか、いっそ業務そのものを丸ごとお願いしてしまえばいい」と。

日機装株式会社
コーポレート本部
グローバル情報統括部
ITインフラ・コミュニケーション管理グループ
係長 大益 啓佑 氏

しかし、インテックを含め複数のベンダーに相談するという段階でこのプランが難しいとわかりました。アウトソースするにも、その前提となる「どの業務をどれだけやってもらうか」という、業務実態の整理が全くできていなかったのです。

そこで、まずは業務の実態を把握するための「指標づくり」に着手しようと、インテックから提案されたのです。


── その指標づくりの一環として、運用アセスメントを実施したのですよね。

大益氏: インテックの提案は他社とは異なり、私たちグループの実情を踏まえて前段階を整備するというものでした。
あるべき組織の姿を見据えて、まずは土台づくりから始めていくという本質的な課題解決への道筋を示してくれました。

この提案の中身が、最終的にパートナーとしてインテックを選択した理由となりました。

導入

深刻な状態を脱するための運用アセスメントと改善の道筋

── 運用アセスメントはどのように進めていったのでしょうか?

大益氏: インテックの担当者が、私たちのグループだけでなく部門全体の現場メンバー一人ひとりにヒアリングを行いました。

このヒアリングは、自分たちの現状を客観視する良い機会になりました。「この業務の手順書はありますか?」「実行する際の承認プロセスは決まっていますか?」と質問されるたびに、「本来はこれができていなければいけないのか」という気づきを得られました。


日機装株式会社
コーポレート本部
グローバル情報統括部
ITインフラ・コミュニケーション管理グループ
グループリーダー 安部 亘 氏

安部氏: こうしたヒアリングを含む運用アセスメントの結果、私たちの組織の状態が定量的に示されました。運用アセスメントでは、※ITIL®をベースにしてインテック独自のノウハウを交えた評価基準で算定してもらいました。示された結果は、他と比較しても極端に低い水準であると言われたことは、今でも覚えています。


小山氏: 報告を受けたときは、あまりに厳しい結果で正直ぐうの音も出ず、ずっと下を向いていました(笑)。同時に、ハッキリと伝えてもらったことで自分たちも感じていたグループの不足部分が定量化され、明確な課題として認識できました。


  • ITIL®(Information Technology Infrastructure Library): ITサービスマネジメントにおける成功事例(ベストプラクティス)を体系的にまとめた国際的なフレームワーク


運用アセスメントにおける主な分析手法


── そこからどうやって、改善のステップに進んでいったのでしょうか?

大益氏: まずインテックから、「現状1.9点の状態を、8ヶ月間のプロジェクトで3.0点まで引き上げましょう」という明確な目標と、そのための具体的なロードマップが提示されました。


安部氏: このゴールを目指して、インテックは現場のメンバーが使いやすい手順書の作成に取り組んでくれました。私たちが扱っているツールや製品は、インテックにとって初めて触れるものも多かったはずです。にもかかわらず、システムのつながりなどを深く理解し、図解化までしてくれました。


  • 本表は、COBITの成熟度モデルをベースにインテックが運用アセスメント向けに再整理したものです。実際の評価では、ITILなどのフレームワークやインテックが運用現場で蓄積してきたナレッジを踏まえ、プロセスごとにより細かな観点で判定を行っています。

── (インテック)手順書作成は、本プロジェクトにおいて重要な工程でしたので、弊社としても非常に力を入れてお客様と共に取り組ませていただきました。

安部氏: 私たちが作成してもらった手順書や運用ガイドラインは、合計25種類、各手順書は10ページほどです。すべてをこのレベルまで作成するのは、本当に大変な作業だったと思います。


── (インテック)そうですね。特に大変だったのが基本方針作りです。日機装様は手順書や運用ガイドラインの拠り所となる「運用とはどうあるべきか」という方針が明確ではありませんでした。その「拠り所」となる基本方針を再構築し、言語化したことがプロセス改革の核心でした。

安部氏: 完成したドキュメントは、単なる操作手順が書かれているだけでなく、作業の目的やシステム間の連携が図解で示されていました。
今では、ITの専門知識がない事務担当のメンバーが、そのガイドを見ながら一人で作業を完遂できるようになっています。


導入効果

業務に余裕が生まれたことで新たな一歩を踏めるようになった

── プロジェクトを経て、組織にはどのような変化が生まれましたか?

大益氏: 大きな成果は、特定の個人に依存しない運用体制を構築できたことです。その象徴的なエピソードとして、プロジェクトの責任者だった小山が他のグループへ異動した後も、現場の業務が問題なく継続できている点が挙げられます。

手順書だけではなく、運用ガイドラインも含めた業務プロセスの基盤が整ったことで業務が仕組み化され、属人化の解消につながりました。その結果、残されたメンバーだけでも十分に運用をカバーできる体制が実現しています。
もしこの仕組みがなければ、今ごろ現場は大変な状態になっていたと思います。

また、運用が安定したことで、これまで現場対応に追われ十分に注力できていなかった戦略企画業務にも注力できるようになりました。
さらに、グループのキーマンで業務が集中していた安部の業務負担の軽減も成功しています。例えば2024年、グループへの問い合わせの約30%を安部が処理していました。それが2025年に入って、対応する問い合わせは全体の10%程度まで減少しています。


安部氏: おかげで、マネジメントとしてメンバーの育成やケアに時間を使えるようになりました。グループ全体の残業も徐々に減っていて、プライベートを楽しむ余裕も生まれています。


日機装株式会社
コーポレート本部
グローバル情報統括部
ITインフラ・コミュニケーション管理グループ
大島 純一 氏

大島氏: 私はこの仕組みがある程度整った後に入社したのですが、前任者がきれいにまとめてくれた手順書があるので、非常に働きやすいと感じています。「こういう依頼がきたら、この手順書に従ってこう対応する」という流れが明確なので、スムーズにキャッチアップできました。もし手順書がなかったら、作業時間は倍以上かかると思います。



── 素晴らしい変化ですね。

安部氏: また、今回の運用アセスメントをきっかけに、私たちの業務分担が見直されました。その結果、私たちが担当していたセキュリティとガバナンス領域の業務を専門に行う別グループが新設されたんです。
これによりインフラグループの業務範囲が明確になり、インフラ運用などのコア業務に注力できる体制が整いました。


大益氏: 役割が明確になったことで、業務の責任の所在も明確になり、スキルアップの方向性も見えてきました。グループでは来期に向けて、資格取得なども見据えたスキルアップに取り組む計画が立てられています。


── 目の前の火消しではなく、未来への投資ができるようになったのですね。


今後の展望

知的好奇心旺盛な人材が活躍できる組織へ

日機装株式会社‐運用アセスメント導入事例|ご担当者様

── 今回の取り組みを活かして、グループをどのような組織に成長させていきたいですか?

安部氏: 私たちが目指すのは、優秀な個人に頼るのではなく誰が担当しても一定水準の業務を遂行できる組織です。今回のプロジェクトで、その土台を整えることができました。

グループをさらに成長させるために、「〇〇をやってみたい」と主体的に考え行動できる方々に、ぜひジョインしてほしいと考えています。


大益氏:私たちのグループには、他の事業部から「DXでこんなツールを使いたい」「この生成AIを活用してみたい」といった新しい話が次々と舞い込んできます。言い換えると、日々新しい技術や未知の領域を学び、成長する機会が多いということでもあります。この環境を楽しめる方と、ぜひ一緒に働きたいです。

また当社は海外にも子会社があり、現地に赴いてIT関係のアセスメントを実施しています。私もちょうど先日、ベトナムに3日間出張していました。グローバルで働くチャンスを求めている方にも、当社は刺激的な環境ではないでしょうか。



── 少しでも興味がわいた方は、ぜひ日機装にジョインしてほしいですね。最後に、業務の属人化や運用負荷に悩んでいる企業にメッセージをお願いします。

大益氏: 運用アセスメントから業務プロセスの見直しを行ったことで、明確化された手法に則って業務を行うという意識がグループに根付きました。この土壌ができたことが、このプロジェクトの最大の財産です。最初は大変だと思いますが、この取り組みが後々必ず組織を強くするはずです。


大島氏:業務内容が可視化されていない不明瞭な状態なら、まず専門家に相談してみることが大事だと思います。きっとインテックのような経験豊富なプロが、その業務を言語化して業務効率を大きく高めてくれるはずです。


安部氏:属人化やそれに伴う業務負荷に悩む企業は非常に多いと思います。その対策として、アウトソーシングは手っ取り早く魅力的に見えるかもしれません。しかし、まずは信頼できる第三者に力を借りて、現状把握と課題発見に努めることが、本質的な解決への一番の近道だと思います。

インテックには今後も、当社の内情を踏まえた業務改善の提案や、最新のITトレンドを踏まえたアドバイスなど、伴走型の支援を期待しています。


企業イメージ

Company Data 日機装株式会社

日機装株式会社は、産業用特殊ポンプ、航空機部品、医療機器など、高度な品質と信頼性が求められる分野で事業を展開するグローバルメーカーです。
エネルギー、化学、医療、航空宇宙といった専門性の高い市場において、付加価値の高い製品・ソリューションを提供しています。
世界各地に展開する生産・販売・サービス体制と、長年にわたり蓄積してきた技術力を強みに、社会課題の解決と企業価値の向上を両立する事業活動を推進しています。
  • 本事例の情報は、2025年12月現在のものです。
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公開日 2026年03月27日

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