魚津モデルスマートシティを支えるデータ連携基盤として
自治体向けIoTプラットフォームの活用で行政運営を効率化
富山県魚津市様
富山県魚津市は、富山県の北東部に位置し、海から山までの距離が短く平野部が少ない独特の地形で、春には、全国的にも珍しい「蜃気楼」が海に浮かぶ、風光明媚な景観を有するまちです。
特別天然記念物である埋没林の博物館や水族館など観光名所も多く、ズワイガニ、加積りんごといった山海の幸にも恵まれています。
一方で、魚津市にも多くの地方都市同様に「都市部への人口流出、少子高齢化による地域の担い手不足」という課題があります。
その中で、魚津市が掲げたのが「魚津モデルスマートシティ」。
人口が減っていく中で、公共サービスをどのように維持し、住民の暮らしを向上させるか。魅力あふれるまちに、どのように観光客や移住・定住者を呼び込んでいくか。その足掛かりとして、魚津市が整備したデータ連携基盤について、魚津市役所 企画政策課 未来戦略室 主任 込山翔様(文中敬称略)にお話を伺いました。
導入の背景
人口減少、地域の担い手不足、魅力あふれるまちを、繋いでいくには。
── 「魚津モデルスマートシティ」を掲げるに至った経緯を教えてください。
込山:
魚津市では、2021年3月に第5次魚津市総合計画の中に「魚津モデルスマートシティ」の構築を目標に掲げました。
一般的にスマートシティとは「デジタル技術や各種データの利用によって都市が抱える課題の解決と新たな価値の創出が促進される持続可能な都市」とされていますが、「魚津モデルスマートシティ」は、SF映画のような未来技術に囲まれた世界ではなく、デジタル技術を道具として使うことで、一人ひとりが真に豊かな暮らしを実現できるまちを目指すものです。地域の課題から取り組みを考える「課題解決型」でありたいと考えています。
── 「魚津モデルスマートシティ」を実現するため、どのように準備を進められましたか。
込山:
「魚津モデルスマートシティ」構築に向けては、「あらゆる政策分野において、これまでの施策を見直し、ICT・データを活用すること」、「行政だけで考えるのではなく、地域課題に関連する多様な主体と連携すること」が必要だと考えました。
前者については、庁内の各課向けにヒアリングを実施しました。インテックにも同席してもらい、高度ICT活用やDX推進の観点で、業務の効率化や課題解決を図れないかという検討を行いました。
後者については、「魚津モデルスマートシティ構築推進協議会」を作り、市民・民間事業者・教育機関・金融機関・行政の協働で地域に住むすべての人が暮らしやすい環境や、希望を持てる未来を創るための検討を行っています。参加委員それぞれがアイデアを自由に出し合い、共有し、各自が持つ知見や技術などの強みを繋ぎ合わせることが狙いです。地域課題の解決に効果を発揮し、魚津市全体の幸福度向上に繋げていきたいと思っています。
── データ連携基盤の導入と、サービス検討について教えてください。
込山:
魚津市のリアルを知るメンバーで、自分たちが取り組むべき課題は何かを考えたときに、魚津市の今を共有するためのプラットフォームが必要不可欠であると考えました。DXを発展的に進めていくために、スマートシティのデータ連携基盤として「FIWARE」を活用した基盤の検討を始めました。インテックには、検討当初から他団体の事例や技術動向についてご紹介いただき、市関係者への勉強会を一緒に実施するなど、理解を深めることができました。
そして、地域に住む人たちの暮らしの継続性を最優先に考えた時に、まず必要なのは「防災」分野だと考えました。その中でも広く市民に影響があり、優先度の高い業務を選定しました。
現状、人力によるパトロール点検に業務コストがかかっているため、この部分の省力化と情報共有の迅速化を図ることが狙いです。
── 実際にデータ連携基盤を活用してみて、いかがですか。
込山: 導入が決まってから、実際に情報を見ることができるようになるまで、スピーディに対応いただきました。懸念していた山間部の電波状況についても、事前に調査を丁寧に行っていただき、ある程度予測ができたので、実際に運用する上では、大きな影響がないとわかり安心することができました。実際に、情報公開サイトでセンサの情報やカメラの画像を集約して可視化することができると、「この情報も掲載してはどうか」や「こんな分析ができるのでは」など、データの利活用に関する議論が深まるきっかけになっていると思います。
今後に向けて
これからの世代が「未来に希望を持てるまち」に
── 今後、魚津モデルスマートシティの実現に向けて、どのような取り組みを行っていきたいですか。
込山: 込山:根底にある思いは、魚津市で暮らす人々、それぞれが感じる将来への不安を今から少しずつでも解決して、子どもや孫、その先の世代に「希望の持てる未来」を創っていきたいということです。そのために、今私たちにできることをやり遂げたい。今までやってきたことの延長では、限界があります。新しい技術や考えに基づく最先端のツールを活用していくことも必要だと思っています。
2060年には、魚津市の人口は今よりもおおよそ18,000人減少し、22,000人程度になることが予想されています。様々な面での人材不足の顕在化や、地域の過疎化により、地域経済の収縮や、コミュニティ機能の停滞も起こるでしょう。地方都市に共通する課題として、どの自治体も解決に向け努力を重ねていると思います。難しい課題だといって放置するのではなく「未来」から「現在」へ、つながりを描くことで、いま私たちにできることが見つかると思います。
来年度に向けては、地域の子どもの安全を守るために、GPSセンサを活用した登下校時の見守り事業を検討しています。また、データ連携基盤を活用していくにあたり、市役所内の人材不足という課題にも気づき、データに基づいて、地域の課題をともに解決していく人材を地域内で育成するデータサイエンス教育に取り組み、データ連携基盤を、より一層活用していきたいと考えています。
インテックは「地域に根ざし、地域と共に繁栄する」ことを掲げ、国のデジタル田園都市国家構想が目指す「心ゆたかな暮らし(Well-being)」と「持続可能な環境・社会・経済(SustainAbility)」に取り組んでいるということで、「魚津モデルスマートシティ」の実現に向けて、これからも共に取り組んでいきたいと考えています。
Client Profile 魚津市役所 企画政策課 未来戦略室様
総合計画に基づき、ゼロ・カーボンシティ、スマートシティの実現に向けた企画調整、SDGsの推進など、魚津市のありたい未来に向けた企画立案及び推進を行う。
- 自治体向けIoTプラットフォーム
- インテックの「自治体向けIoTプラットフォーム」は、IoTによるリアルタイムデータやオープンデータなど、様々なデータを連携するプラットフォームです。 スマートシティを支える「都市OS」として活用でき、業種を超えてデータの共有・利活用を促進する利便性向上や安心安全なまちづくりを支援します。
会社名 | 魚津市役所 企画政策課 未来戦略室 |
---|
- ※本事例の情報は、2023年2月現在のものです。
- ※本文中の社名、製品名、ロゴは各社の商標または登録商標です。
- ※本文中に記載されている事項の一部または全部を複写、改変、転載することは、いかなる理由、形態を問わず禁じます。
- ※本文中に記載されている事項は予告なく変更することがあります。
公開日 2023年05月18日
導入した商品・サービス
- エリアデータ利活用サービス
- IoTによるリアルタイムデータやオープンデータなど様々なサービス・ソリューションと連携し、地域の暮らしに関連するデータを収集・可視化・利活用を促進するデータ連携基盤を中心としたサービス