「Patent Structure Viewer」特許支援システム

概要

開発の背景と目的

 「特許請求の範囲」には、特許請求項(クレーム)が記述されます。特許請求項とは、発明の権利範囲を記述するためのもので、特許書類中で最も重要な箇所です。特許請求項は通常、複数個記述されますが、その引用関係は複雑なものになることがあります。また、特許請求項は通常、複雑な構造を持った長文で記述されるため、弁理士や知的財産権専門家以外の一般の人にとっては極めて読みにくいものになっています。

 Patent Structure Viewerは、「特許請求の範囲」の読解支援を目的として、以下の機能を提供します。

・注釈付きクレームツリー表示機能
・特許請求項の細粒度解析機能
・特許請求項における特徴的単語の強調表示機能

対象のお客さま

対象とする利用者

特許書類には慣れていないが、技術調査等の目的でそれらを読解する必要のある技術者の方を、主な利用対象者として想定しています。が、弁理士や知財担当者などの専門家の方にとっても、大量かつ迅速に特許書類を読解する必要がある局面において、有効な支援を提供できると考えています。

特長

最近のトピックス

・2013年3月 一般財団法人日本特許情報機構による 「平成24年度 特許版・産業日本語委員会 報告書」 において、「『Patent Structure Viewer』の請求項の細粒度解析機能等は、技術分野を問わずに有効であるとの高い評価が出された」と報告されました。
・2013年3月 東京大学で開催された「産業日本語シンポジウム」でデモ展示を行いました。
・2013年2月 情報処理学会の学会誌「情報処理」2013年2月号の論文「2. 特許と情報学 -特許実務における情報学の貢献と研究者等の特許活動-」でPatent Structure Viewerが引用されました。

主な機能

複数の特許請求項の引用関係を視覚的に分かりやすく表示します。

複雑な引用関係を持つ複数の特許請求項の引用関係を解析し、以下の図に示すようなツリー(注釈付きクレームツリー)で表示します。以下の図で、各ボックスは請求項を意味し、ボックス中で○は前提部、●は特徴部にそれぞれ記述された構成要素を示しています。また、各ボックスの背景色の意味は以下の通りです。

灰色=独立形式請求項
赤色=引用形式請求項(外的付加)
水色=引用形式請求項(内的付加)
ピンク色=引用形式請求項(その他)

注釈付きクレームツリーは、プリンタに印刷することができるほか、JPEG形式のファイルで保存することができます。

各特許請求項の構造を視覚的に表示します

慣習的に一文で記述され、複雑な構文を持つ特許請求項について、以下の4つの記述スタイルの判定を行いながら構造を解析し、結果を視覚的にツリー(特許請求項細粒度解析ツリー)で表示します。

(1)順次列挙形式
「~し、~し、~した○○」のように、処理を順序的に記述する形式。

(2)構成要素列挙形式
「~と、~と、~とからなる○○」のように、構成要素を列挙する形で記述する形式。

(3)ジェプソン形式
「~において、」や「~であって、」などの文字列を用いて記述を前半部と後半部に分割し、前半部には公知部分または前提条件を述べ、後半部では新規部分または本論部分を述べる形で記述する形式。

(4)変形構成要素列挙形式
「~と、~と、~とを備え、~は~し、~は~する○○」のように、(1)と(2)が合成された形式。

 特許請求項細粒度解析ツリーの例を下図に示します。

特許請求項における特徴的に使われている単語を強調表示します

「特許請求の範囲」を上から順番に探索し、特徴的な単語が現れたときに、その単語を請求項毎に定めた色で強調表示し、それ以降で同じ単語が現れた場合、その単語を同じ色で強調表示します。これにより、各請求項の特徴的な単語が一目で分かるようになり、それぞれの請求項の違いを容易に把握することができるようになります。また、「発明の詳細な説明」の部分でも同じように単語を強調表示することで、そこで現れた単語がどの請求項の特徴的な単語なのかを容易に把握できるようになります。

動作環境

Patent Structure Viewerは、特許書類のテキストファイル(Shift_JISコード)を入力し、解析処理を行い、結果をブラウザで表示できる形で出力します。対応ブラウザは、Internet Explorer 8以上 (Flash Player 10以上がインストールされているもの)です。

(注) 「注釈付きクレームツリー」と「細粒度解析ツリー」の表示のために、Flash Player 10以上が必要です。
Patent Structure Viewer の解析エンジンは、Windows 7で動作します。

関連発表

本システムで使用している技術に関して、以下の発表を行っています。

・「特許請求の範囲」読解支援のための言語処理技術の改良と統合化, (2010年12月,第1回特許情報シンポジウム)
・特許請求項の細粒度解析について, (2010年6月, 日本知財学会第8回年次学術研究発表会)
・引用形式請求項における内的付加と外的付加の判定とタグ付けについて, (2009年6月, 第7回日本知財学会学術研究発表会)
・手がかり句を用いた特許請求項の構造解析, (2004年, 情報処理学会論文誌, pp891-905, Vol.45, No.3)